アレックス モールトン TSR
非常に有名な自転車メーカーというより 研究所といった方が良いと思います。
アレックス モールトンは人名ですが、イギリスの貴族であり学者であります。
この人には日本にも熱狂的信奉者があり、それらの人は モールトニア
と呼ばれています。
イギリスの貴族ですので広大な領地とお城を持っています。もちろん今でも持っています。
そしてそのお城の中に研究所があり、この自転車がというか、もはや別のジャンルの乗り物と言ってもいいようなものが開発生産されているのです。
モールトン博士はオースチンミニのリヤサスペンションを開発したことで有名です。そのサスペンションは金属スプリングではなくゴムを利用したものでした。その名残がこの自転車のリヤサスペンションに見られます。またそのミニに載せるために2分割出来るようにこの自転車を作ったといわれています。
構造的にはフレームは極めて細いパイプをトラス構造で組んでいて、中央のところで2か所の接続を外すことで前後2分割出来る様になっています。フロントはスイングアーム式のサス付き、リヤもサス付きとなっています。最初の設計は80年代だと思うのですが、そのころから今で言う前後サス付きでした。モールトン博士のえらいとこは、この20インチの小径車には前後サスが必要ということを見抜いていたことだと思います。小径車は少しの段差でもそれを乗り越える影響が大きく出るので、滑ったり 前進力をロスしてしまいますので、サスを付けることでそれを軽減しています。
私のこのモールトンはTSRといってイギリスのパーシュレイ社というところでライセンス生産された廉価版となります。フレームはしっかり作られていますがコンポーネントはアリビオレベルの普及クラスです。そしてなぜかMTB風の仕上げにされていることが多いです。
これに対して本家物のモールトンはAMシリーズが代表的でして、お値段が跳ね上がります。これはお城の中のファクトリーで作られていて通称 お城製 と呼ばれています。このシリーズですべての車体をステインレスの極細レイノルズ管でつくられたものは極めて美しくもはや芸術品といっていいものです。お値段も実用できる自転車としては最も高く100万円以上しますが、日本でもこれを買ってゆく人がそれほど珍しくないほどいると思います。それだけの価値がある素晴らしい物体と言えるでしょう。
モールトン博士はお城でいろんなタイプの仕様を作っていますが、自転車での最高速チャレンジ用を作り出したりして、ロード用なしつらえがうまかったと思います。
ハンドルはMTBタイプから日東の一文字タイプへ交換して、ブレーキはダイヤコンペのオポジットタイプで変更。ブレ-キキャリパーはケンクリークに交換、同時にアウター受けも交換。これはL字形のパーツを手に入れれば無改造で変更可能です。標準で付いているVブレーキキャリパーは不細工ですので、交換をお勧めします。
ステムは日東のダイナミックⅡ
ヘッドはルデリと読めますがよくわかりません。アルミの様です
分割部の構造が良く分かりますか
サドルはブルックス チームプロフェッショナルに交換
リヤサスです。オートバイではモノクロスサスなどというものと似ていますがこちらの方が早く開発されていたと思います。リヤブレーキキャリパーもMTB用の不細工なサイドプルからケンクリークのセンタープルキャリパーへ変更。その時アウター受け台座が必要になりますが、画像のL時型部品を購入し、本体への接続パーツはアルミで自作しています。
その下の丸いゴム部品がモールトンのタマゴと呼ばれるサスペンションシステムで、変に柔らかくふわふわする安っぽいサスとは全く異なります。手で押した感じではストロークしないほど硬く感じますが、フレームのしなりと相まって走っている中では適度な乗り心地となります。前サスと合わせてシルキーライド(絹の様な乗り心地)と言われています。路面の凸凹の凸の頂点のみを滑ってゆくという表現でいいと思います。
類似品が良く出ないなと思っていましたが、パテントで固めているようです。
フロントのチェインリングは本来ダブルですが、これはシングルに変更していて、刃数の大きなものにして変速比を確保しています。これはこれでシンプルでいいかもしれません。
小径車はギヤのセッティングが難しく、かなりハイギヤードにしないと走れません。リヤハブはそのため小径車専用の9Tを取りつけ出来るハブが設定されています。(通常は11tがmin)
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