ヤマハ R1-Z
このバイクはグリーンのS30Zを譲っていただいたMさんから受け継いだものですが、なかなか手入れする時間がありません。
ヤマハの多分最後の2サイクルで、RZから始まる2サイクルシリーズの最終形に当たると思います。外観的にはRZに比べれば現代的で洗練されたスタイルとなっています。フレームがアルミボックスでなくパイプフレームであるところがいいですね。
古い車やバイクは長い間乗らないで置いておくと不調になります。
先ず、バッテリーがだめになりますので、エンジン始動がセルモータのみのものはそこでアウトになります。R1-Zにはキックがあるのでまだよいのですがやはりバッテリーを新品に変えます。
それで何度もキックするのですがやはりエンジンはかからなくなっていました。3か月前までは問題なかったのですが・・・。
で、この時困るのがこの世代ぐらいからスイッチオンと同時にヘッドライトを強制的にオンになるよう法規が変わったことで安全上は確かに必要かもしれませんが、このようにエンジンがかからない場合はキックしている間ずっとヘッドライトが付きっぱなしでますますイライラします。何ともお節介な法規です。
仕方なくヘッドライトカバーを開けてヘッドランプバルブのカプラーを引っこ抜いて点灯しなくします。
ここまでキックしつずけてチョークも開けしめしたり、プラグを見たりして点火もOK、プラグの湿りも少なくどうもキャブの中のガソリンがまずい様です
キャブを外してゆきますがこの時点でガゾリンが腐った時特有の強烈なにおいがします。どうも夏場の高温でガソリンの蒸発が激しかったようです。長く止めるときはキャブのドレンネジ開けてフロートからガソリン抜いておけば良かったですが、今回は私が忘れていました。
キャブとしては四角いスライドバルブのVMタイプ。四角いスライドバルブはレーサーぽくてかっこいいです。
左右ともにキャブを外した状態。
配管がかなり増えて複雑そうでしたが、取り外しは思いのほかやり易く、整備性も考えられているようです。2つ穴のあいているところがインテークインシュレーターで内部にはリードバルブが付いています。これも張り付く場合があるのでチェックしてOK。その左側の円筒状のものはコレクタータンク。さらに左のワイヤが交差しているところはYPVSのサーボモーターです。
このキャブはなんと水冷されているのですね。RZ250しか見たことないのでびっくりです。
エンジン右サイドのクーラーントドレンから冷却水を抜いてからキャブの水冷パイプを外します。
キャブを分解してゆきます。
やはり内部はガソリンが蒸発した後煮詰まって出来るワニスがびっしり張り付いていますが、これは最悪の物質です。ガソリンでも溶けないし、キャブクリーナーでも溶けません。物理的にこそげ落とすしかありませんので大変です。
先ずは定番のメインジェットですが、完全にやられています。
ジェット穴はもちろん完全に詰まっていますので、教科書には針がねなど通すなと書いてありますが物理的にやらないとつまりは解消できません。私はエレキギターの高音から低音までの6種類の太さの弦のお古を捨てないで取っておいてこれで細い方から順番にジェット穴にゆっくりと通していきます。強くやると傷が付くのでゆっくり少しずつ掃除していきます。
画像が前後しますが
次にこの白っぽいプラスチックの筒状の部分を引き抜きます。
この奥にパイロットジェット=低速側の補助ジェットが隠れており、実は今回これに気付かずというかメインジェットばかりに目が行ってこれを見落としていました。もちろん完全に詰まっていて今回エンジンがかからなかった一番の原因でした。結果2度もキャブを外すハメになりました。
ジェットニードルですがこれは清掃した後ですが、清掃前はうすく茶色の結晶の様なものがへばりついていてなかなか取れない状態でした。
フロート室もこんな目も当てられない状態です。すんません。
フロートとニードルバルブ
これもいけません状態です。
全部奇麗に清掃していきます。
キャブ組み付けてなんとか始動にこぎつけました。
やはりバイクは定期的にエンジンかけないとだめっぽいですね。教訓でした。
このあと試走に出ましたが、RZと比べるとものすごくブレーキが効くので驚きます。かといってロックするわけではないのですがRZのつもりでブレーキレバー握ると前転しそうに効くので、レバーの微妙な操作が必要ですが慣れかな。
次に感じるのがタイヤが小径幅広になった影響でステアリングがクイックになっていることですが、操縦は安定感がありますが、しかしRZに比べるとコーナーリング中はハンドルが常に切れ込んでいる感触があります。もっと高速になれば違うとおもいますが。
エンジンはYPVSが付いているので低速も楽かなと思いますが、発進時などの低回転ではやはりトルクは薄いです。トルクバンドは7000rpmから上ぐらいで、YPVSはこれくらいの高回転の範囲内で機能しているのだと思います。
250ccで45馬力ですから7000rpmから上ではやはりロケットの様な加速力です。
排気音についていえば少し高音のチューンで音量も控えめですが、法規的に仕方ないのかもしれません。
峠道の様な所では4サイクルでは味わえない2サイクルの世界で、すごく楽しいバイクで有るのは間違いないですね。