2020年11月7日
デザイナーのS30Z
白いボディーとオーバーフェンダーやインスペクションリッドやボンネットルーバーのガンメタの対比がきれいなこのZはモックアップモデルのデザインまで手掛けるというデザイナーが持ち主です。
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2022年12月14日
デザイナーのS30Z その4
デザイナーさんがS30Zに対して日ごろのやりたいことを抱えて再来です。S30Zに限らず旧車はやっぱり不具合修正だけでなくともいろいろやりたいことは山ほど出てきます。
車体・エンジンルームともに非常きれいにされています。全体的にはしっかりできているという印象です。
エンジンルームです。
1番プラグですが番手は5番で、焼けとしてはかなり薄いといえると思います。
6番です。
これぐらいがちょうどよい感じです。
キャブはニスモソレックスです。
今回の一番のテーマであるコンソールへ3連メーターの設置を進めます。
3連メーターを機械式メーターにするとそれらをコンソールにつけたとたんにそれ以降のコンソール取り外しは非常に厄介なことになります。なぜなら機械式3連メーターはエンジンまで直接、機械式な配管(これは配管内部にエーテルなどを満たして密封している場合が多いです)を取り付けるので途中で外すという事が非常に難しくなってきます。電気式ならカプラーを引っこ抜くだけですが機械式ではそうはいきません。
そこで私はこのような3連メーターパネルを作って使っています。
一番上が鉄板素材、1.6mm厚のボンデ鋼板を使います。真ん中はそれにメーター取り付け穴を開けた状態
下は補強版です。穴を3個開けると中間は鉄板のリブが細くなり強度が著しく落ちて簡単に曲がるようになることの対策です。
これが荒組み立てをしたところです。
上側に補強リブが付きましたのでこれで簡単にはパネルは曲がりません。
下側のフックはコンソールに差し仕込んで固定するためのフックとなります。これによりコンソールへの取り付けが簡単にできるようになります。最終的な固定は上側に2個あるM5ネジ用穴で抑えることになります。
塗装をしています。まとめて3個作っています。
メーターを取り付けています。
機械式メーターはメーター後ろにセンサーに繋がるパイプが固定されているためこのメーターパネルの穴に前側からそのホースを通さなければなりません。そこが非常に面倒なのです。電気式メーターのようにカプラー抜けば分離できるのとは異なります。ただメーターの信頼性やレスポンスは機械式のほうが気持ち良いです。
エンジンをかけてアイドル暖機運転をした状態です。
水温は75度で安定しています。
油温は負荷をかけているわけではないので60度を指しています。
油圧計はアイドルで2Kg/cm2ぐらいを指していますが回転を上げると6Kgになります。オイルポンプはカメアリ強化に交換しています。
メーター照明も当時物の様なアンバー色です。
オイル系はこの場所につなぎます。
メーターからここまで2mの長さが必要になります。
右がオイル温度センサー
左が油圧センサー
機械式水温計のセンサーは今まで純正のセンサーが付いていたサーモスタットケースのところに取り付けることになります。ここがやはり稼働中のエンジンの中を循環した冷却水が最後に出てくるところになりますので最も直接的なエンジン稼働温度を示す場所となります。
では純正のメーターはどうするかというとこの画像のようにラジエター出口のホースにアダプターを割り込ませてセンサーを取り付けます。ここを見ていればラジエターの冷却能力がわかることになります。アイドリングや渋滞時はここの温度は85度近辺まで上がりますが、走っているときは走行風で冷やされてほとんど純正メーターは低い温度を指すことになります。つまり、サーモスタットのところの温度より、こちらの温度が100度近くになってしまった時が本当のオーバーヒートになっていると判断します。
コンソールを入れ込んでいきます。
3連パネルのつくりのところで見たようにパネルの下側はコンソールに差し込むだけで良いようになっています。その後上側のボルト2本でコンソールに固定します。上側は狭いですがそれでも手が入るので何とかボルトナットの付け外しが可能です。これで下側もボルトナット留めだと下側のボルトナットはかなり付け外しに苦労するところでしょう。
コンソールを正規位置に固定しました。ほかのスイッチ類がまだ工事中なのでまだ穴が開いているところがあります。
ちょっと場所が飛びますがオイルポンプを強化オイルポンプにしたいという事で交換します。画像で見てわかる通りオイルポンプのすぐ下にはフロントスタビライザーがあるので、これを取外してから作業に入ります。私はこのように車上でオイルポンプを交換するときは必ず1番ピストンの圧縮上死点にしてから作業に入ります。オイルポンプはディストリビューターと同じ列のスピンドルで駆動されており、点火時期と密接な関係がありますのでこうしておいたほうが間違いが少ないです。
オイルポンプを外すと自動的にスピンドルも外れてきます。ギヤ面はそれなりの経年変化が見られます。特に画像ギヤの中間下側半分に摩耗が見られます。
ここがスピンドルの上側、ディストリビューターを駆動している部分ですがここはそれほど大きな消耗は見られません。
オイルポンプが取りついていたところのエンジン側の状態です。少し大きめの穴2個がオイルを吸い込んで、吐き出される通路となります。ここから吸いこんだオイルは圧送されてフロントカバーにある通路を通り、エンジンブロックにあるオイルフィルターのところまで長いオイル通路を通って送られていき、オイルフィルターを通った後はクランクジャーナルやカムホルダーの潤滑通路に送られていきます。
今までついていた純正のオイルポンプとスピンドルです。
これから取り付けるカメアリ大容量オイルポンプと純正スピンドル日産純正新品となります。この2部品は組付ける際に合いマークがありますのでそこを合わてから組まないと、このスピンドルで一緒に駆動するディストリビューターの回転位置が狂い点火時期がめちゃめちゃになりますので注意です。
エンジンに新オイルポンプを取り付け復元しています。エンジンオイルはもちろん抜いておかないとできませんので、これと一緒にエンジンオイルの交換もしています。
ヘッドライトリレーを付けたいという事で私の作っているS30Z専用ライトリレーを使います。画像のようになりますが専用に作るので無駄が出ないすっきりとした配線となります。取り付けは年式にもよりますがカプラーONが基本ですが、今回のように丸型のカプラーを使っている場合はこのカプラーが入手できないので、いろいろやりくりしなければなりません。
これにすることでライトが明るくなるのはもちろんのことですが、もう一つ、ステアリングのところのライトスイッチや上下切り替えスイッチにはリレーを動かす微弱信号しか流れなくなるのでスイッチへの負担を大幅に減らすことになります。今では驚くようなことですがこの当時の車のライト配線はバッテリーから太い配線でコラムスイッチまで繋ぎその後また太い配線で車体前側のヘッドライトまで電気を送った後、スイッチングの為に戻り側も同じ太い配線でコラムスイッチまで戻りますのでその配線長さは膨大でその分だけ配線抵抗(銅線で電気抵抗があります)が生じてエネルギーを失っています。(=ライトが暗くなる)ましてや40年経過した電気配線では銅が腐食して粉を吹くようになる=緑青なので電気抵抗はさらに大きくなり、最後は断線します。
リレー本体はこの位置にすっきりと固定されます。市販の汎用ライトリレーはどんな車にも合うように配線が長すぎたり太すぎたりがあるし、電源の取る位置も合わなかったりします。
またライトリレーを作るうえで気を付けなければならないことは、回路がダメだとヘッドライトが付いたまま消せなくなるというリレーの自己保持状態に入り込むことがあります。
このリレーにすることでバッテリーからライトまで最短距離の経路で繋ぐことができますので電気配線抵抗を減らすことができます。またマイナス側はライト直近でボディーアースしますのでそこの配線もミニマムですみます。
電気系でもう一点、パッシングライトが付かないという事で調べてみました。
この部分の配線が断線していました。
ここはこのようにつなぎこんで解決
配線の深いところの故障でなくてよかったです。
配線も40年も経つとパリパリに硬化していて、ちょっと動かしただけで簡単に折れてしまいます。動脈硬化みたいなもんですね。
ご要望でミッションオイルを交換しています。
ドレンプラグの状態は問題ない感じです。細かな鉄粉の様なものがありますが、鉄の塊のようなものはありません。良い状態だと思います。
抜いたミッションオイルは色もそれほど黒くなく、きれいです。もちろん異物などは見られません。
次はデフのオイル交換です。
このデフは私がピニオンベアリングまでのフルオーバーホール整備したものでR180デフですが中身はOS技研のスーパーロックLSDとなっています。最も大きな特徴はデフカバーをフィン付きに改造しているところでしかもボルトONで取り付けています。市販のフィン付きデフカバーを付ける場合、S30Zは後ろにあるデフメンバーがフィンに当たるのでこのデフメンバーをアリゾナビレットなどへの変更など大改造が必要になりますが、私の考えたフィン付きはこの通りボルトONです。ただしフィンの大きさはそれなりだし、オイル容量はほとんど増えませんが、通常走行の場合はこれで十分だし、見てくれがすごくかっこ良くなります。
ではサーキット走行などでデフ温度が上がる場合はどうするかというと私のサーキット用S31Z こちら を見ていただくとわかる通りデフオイルクーラーを取り付けたほうがずっと冷却効率・オイル容量ともに対策ができますが、その取り付けもこのフィン付きデフカバーであることが大きな条件となります。
抜いたデフオイルです。ほとんど変色もないきれいな状態です。ドレンプラグにもほとんど異物などついてきませんでした。 入れるデフオイルはニスモのコンペティションオイル95Wー145です。(モチュールのサブロゴが有りますのでOEMですね)