2017年10月末
なにわのレディーバードが舞い降りた
秋の大型台風が近ずく中、台風の上陸前日にこのなにわのZが来訪いたしました。
左ハンドルのHLS280Zですが、いろいろと長年の歴史の中でかなり消耗や破損が進んでいるようですし、細かいところでは本来とは異なる修理がされている履歴がある様です。
オーナーはこの車で10Kmの通勤にこの車を使っている女性オーナーで、パワーステアリングが付いていますが、外観はかなりスパルタンです。
内装は赤い革張りでかなり手がかかっている感じで丁寧な作りになっています。
逆輸入のHLS30でおそらく52年式の280Zと思われますが、外観的にはバンパーの取り付けに無理があり、全体的な印象を損ねていると思いますので直したいですね。
不具合の箇所を見ていきますが、アクセルが吹ききりになることがあるということで見てみるとアクセルリンケージのネジ締め部が底付して締めきれない状態です。これではアクセルリンケージが動いてしまいます。
本来はこのように口が開いていないとだめですが、金属部分が伸びてしまったのかこの開き部分が密着状態です。
アクセルリンケージの支点がブッシュが無くなりがたがたです。このパーツはすでに製廃で入手困難です。これで走れるのかと思いましたが、案外支障なく走れました。
ソレックスのコネクティングロッドもこのように摩耗してロッドが外れかねない状況です。
ブローバイが大気開放で排ガス規制に対してはだめです。ろ過機が付いているので問題なしとしてほしいところですが。
エンジンブロック側のブローバイも外れています。
対策で支点のパーツはロッドエンドを利用してステーを造り代替します。中央部品の様です。
キャブ回りはこのようになりました。
ソレックスの押しレバーとコネクティングロッドは新品の強化タイプで交換しています。ブローバイは接続パイプで集合してから中央キャブのエアクリーナーへ戻します。
エアクリーナー蓋は仮に鉄板で作りました。
支点部分
上が強化タイプで今でも一般に売られているものです。
下側の今までついていたのは合金の鋳物ですが材質が柔らかすぎるのだと思います。
ブローバイの取り回し。使用しているのは耐熱パイプ。
ソレックスキャブのジェットの現状を調べてみます。
メイン #155
エアー #200
アイドル#57.5
ポンプ #40
となっていました。
ノーマルのL2.8リッターならまあ普通のセッティングかなと思います。アイドリングも安定しています。
この状態でプラグを見ると真っ黒でしたので、車検時はメイン#150アイドル#52.5ぐらいに絞った方が良いかと思います。
今回はこのままの状態でリンケージの同調を取りました。
足回りでブレーキですがMK63キャリパーに亀有のフローティングディスクが奢られています。これは私のZと同じ仕様です。が、
ブレーキパッドが全く見えないのだが。
4枚ともこのように残厚1mmというところです。
道理で時々ブレーキが利かない時があるということでしたが納得ですが、コワッ・・。
手持ちのプロジェクトμHCが有ったので中古ですが交換して安心です。まだ4mmぐらい残厚ありますので大丈夫です。
見えずらいですがパッドを交換した状態で、摩擦材部分が見えています。しかもレーシングパッドです。
ディスクはほこりがかぶっていますが〇メアリのハブがゴールドのフローティングタイプベンチレーティッドディスクです。
フロントサスは車高低すぎなのでストラット上部にスペーサー25mmを入れます。かんたんにできます。
この画像の右下でブレーキホースを変な金具でタイラップで固定していますが、これはよろしくないです。
ちゃんとした金具作ってか締めて固定しました。
ここも少し問題ですが、一応金属バンドなのでこのまま行きます。これを直すにはブレーキホースをもっと長いのにしてストラットの金具にゴムのインシュレーターで固定する必要があります。
リヤサス側に移ってこの部分は完全にスプリングが遊んでいますので、ダメな部分です。
スプリングはレーシングサスの様です。
下がレーシングサスのサンプルで上が遊ばないスプリングで不等ピッチとなっています。これだけ自由長が異なります。
リヤサスでの問題はこのサイドブレーキケーブルとドライブシャフトの干渉で走行中接触している状態です。ドライブシャフトの一部が削られて赤く錆びが出ていることが分かります。
その理由はこのサイドブレーキワイヤのこのいい加減な固定方法にあります。これではいけません。もともとの吊りゴムが切れてしまったので、その上からタイラップで締めているだけです。この車はタイラップ留めが多すぎます。
反対側はこのようで、引っ張っているのはタイラップです。1本では心配と思ったのでしょうが、3本ついていますがため息です。
また、さらにサイドブレーキケーブルとリヤスタビライザーが同一線上になっているのを無理やり取り付けているので双方がこすれあってしまっています。
対策ですがこのようにステーを作ってスプリングで引っ張るように変更します。これですとサスペンションの上下動に追従することができるので無理が来ません。タイラップではいつか切れます。
反対側も。
リヤスタビライザーについては取り外しました。もともと純正の状態では付いていないものですから外しても支障はありませんし、この画像を見れば取り付けはあきらめると思います。
マフラーも10cmほども垂れ下がっていたのですが、ゴムステーを作って床から1cm以内のぺったんこにマフラーを固定します。
まだまだ直したいところがありますが、一応の緊急の措置は取ったので、まずは再度旅立つ準備は出来たと思います。