安心して乗れる大人の240ZGへの変身ー駆動系編 S30Z R180 デフ オーバーホ-ル

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240ZG、ノーマル


2019年6月10日

安心して乗れる大人の240ZGへの変身

 

古くからのZ乗りのお仲間の紹介でこの念願の240ZGを最近やっと入手されたというオーナー様から、このZGを安心してドライブできる車に仕上げて欲しいという大人のレストア作業をお受けいたしました。

全体的にはノーマルの240ZG

塗装が素晴らしく美しいいです。

エンジンもほぼノーマル

キャブはSU

走った感じも問題なさそうです。

だんだん調べてゆきますが、まずはエンジンルームから入ることにします。

 軽重はありますが現時点で54項目の修正事項が有ります。だんだんやって行きます。

ブレーキマスターから渦巻いてブレーキバキュームホースの上で分岐してさらに左側でうねっているのがウインドウォッシャーのパイプです。機能は良いかもしれませんがだらしない感じです。

純正のホースの取り回し、ガーニッシュの淵にピタリと張り付いています。

巨大なホーン

Gノーズの中は広い空間ですのでこれが左右2個付いています。

 

直径で150mmはあります。マルコーと読めますが確かダンプ用が専門だったような。

取り外したがとにかくでかい。向こう側にあるのがこれから取り付けるホーンですが小さく見えますがこれが普通の小ぶりのサイズです。

新たにつけなおしたホーン、Gノーズでは使わなくなるこの位置にあるショートノーズのグリル固定ステーのねじを利用して取り付けています。

ちょっと見ずらいけどこの画像の中央部奥に穴の開いたステーのようなものがタコアシ固定ボルトと共締めされていますが、2枚有りともに宙ぶらりんで付いています。が何の為?

ガソリンレギュレーターですがリターンが配管してないのでガソリンは行き止まり方式となり、あまりよろしくないですが機能的には問題ないでしょう。燃圧は0.25kGぐらいです。

キャブへの配管としては何かを流用しているようで中央部に口が一つ余っていてヘキサゴンボルトを刺して塞いでいる状態で少し漏れが見られます。流用なので曲がり形状も適当に見えます。

SUの正規配管はこの様なもので上下2系統で行きかえり配管となります。キャブへの通路は2本。

エアーダクト 劣化してボロボロで触るところから崩れていきます。左右とも

このアクセルロッドの蛇腹ゴム、できたら交換したい。

こちらに来る直前でこのボンネットオープナーが切れたということなので修理します。幸いにもロックを解除した後に切れたのでボンネットは開けれることは開けれます。

新品も売ってはいますが、これは簡単に直せるので今回は修理で行きます。画像じゃすでに切れた部分を取り除いて代替のタイコ(レバーを引っ張る部分)を再生しています。後は組み付けるだけです。

同時にウィンドウォッシャーの配管とバッテリの配線の不整を直します。すっきりとなりました。

次にキャブレターというかチョークの作動が変だということなのでキャブの調査に入ります。SUキャブのチョークリンケージは鬼門で、いろいろ改造されている場合が多いです。

エアークリーナーを外しましたが、右側の動きがあまりよくないです。左側は動きは良さそうですが、チョークノズルの引きずりが有ります。この引きずりは左右ともにありますが、右の方がひどいかな。

ということで右側のキャブを外しましたが、画像中央のドライバーで示した太い針金状でへの字をしたリンクが有りますがこの形状が見るからに変形しています。よーく見るとへにゃへにゃ曲がっているしへの字の角度が見覚えのある角度より曲げられています。これは今までにもよく見たやり方で始動時のアクセルアップを割増するための小細工です。

その結果どうなったかというと少しわかりずらいですがアイドルアップのリンクが他のリンクに干渉してそれ以上動けない状態が起こっています。への字を曲げたので距離が詰まって右側のリンクに当たる結果となり、それ以上ストロークできません。

 アイドルアップ代を増したいという気持ちはわかるんですが対策がアンチョクでしたね。でもこういうのが結構多く見られるので、当時の流行の裏技だったのかもしれません。

 

それにしてもあまりにも左右で動きが違いすぎるなと思って左側を見てみたらこんなでした。右側と全く違うアイドルアジャストスクリュー&ノズルが付いてます。これは少し後の世代のアイドルアジャストスクリュー&ノズルのような気がしますが、そうだ確かトックリ(ボディー)が角ばっているタイプのノズルに似ている。

右側はこういうのでこれは見慣れた排気ガス規制前のSUキャブのアイドルアジャストスクリュー&ノズルだ。

左右で異なるのはよろしくないと思うし、どっちにしても左右キャブ共にノズルはチョーク作動をすると途中でひっかりが有り、チョークワイヤーで押してやらないとチョークかかりっぱなしになりかねん。さてどうしよう。

 

 このアイドルアジャストスクリュー&ノズルの新品が手に入れば一件落着なんだが・・・。

もう左側も外してみないと損な状態なのか把握できません。外しましたが、アイドルアジャストスクリューの外観は大きく異なります。

左側のノズルですが赤茶けた真鍮の表面ですべりは悪そうですが、寸法的には似通っています。さすがに全く異なるものは付けていないですが、このように変えたのは何か訳が有ったのでしょう。

アジャストスクリューはこのように全く形は異なりますが肝心な部分の寸法はおそらく一緒でしょう。形的には自分はあんまり好きな形ではないけど。

ノズルがどうしても途中で引っかかるのでこの部分の面取りの角をさらにやすりで仕上げていきます。

 

尚、L20用とかL16用はこのやすりをかけている部分の形が異なっていて大まかには下から大きな六角ネジをねじ込むようになっていて、このL24用とはその部分の互換性はないです。ノズルやアジャストネジはおそらく同一と思われます。

両方のノズルのスライド面を1000番の紙やすりで研磨してきれいにします。穴径やノズル長さなどサイズ的には同じだと思います。真鍮は長い間には緑青のような錆を発生しますので、この磨いた面が本来の真鍮の色です。

ううん、さらに右側のキャブはアイドルアジャストがほとんどできない状態=アジャストネジ締めこんでもバタフライの開き量にほとんど変化なし。

結局リンケージ類全分解で1個ずつあるべき姿に調整してゆきます。なんでこうなったかは分かりませんがあまり経験のない方が見よう見まねでいじったのか、わかってはいるが時間がなくてやっつけ仕事したのかどちらかではないか思われます。

 

さて、アイドルアジャストネジが両方のキャブで異なる問題ですが寸法的には何とか相似性はありそうなので、アジャストネジの形にこだわらないならこのまま承知のうえで組んでも問題はないのではと思われます。

に一時的に採用されたと思われるこの排気ガス対策用アイドルミクスチャー調整ねじは外周に120度くらいの開度でツノが付いていて画像上側のプラスねじで固定された柱のようなパーツでミクスチャー回転がこの120度のツノの中でしか回らないようにしたもので、これにより不用意にガスの濃さをいじれないようにしたものです。120度の中には5か所のクリック溝が付いていて調整をしやすくしてあります。規制前の単純なローレット仕上げネジより滑りにくく調整はしやすいかもしれません。

この後の48年排気ガス規制以降最終的にはこのデバイスの塊のようなSUキャブが登場して、それ以降インジェクションに移行してゆきました。

 ややこしくてわからないのですが大まかには

アクセルを急激に閉じないようにするダッシュポット

アイドルアジャストスクリューやノズルさえもなくなりフロートチャンバーのようなものになってしまいました。チャンバーから覗いている楕円形のパイプはおそらくトックリへの負圧を拾うパイプかな。バタフライはガスの入り口側への逆流を防ぐためなのかキャブの入り口側に移設されています。何とかキャブで排ガス規制を乗り切ろうとした熱意というか、努力が感じられます。

 

結局、チョーク不良がここまでの作業に発展してしまいましたが旧車はこういうパターンがおおいです。

このヒートインシュレーターあちこち曲げ変形やさびがあるので少し板金修正します。

組み戻しに入ります。

インシュレーターはシルバー耐熱で塗装したので見たとこきれいになりました。

 

奥に見えるタコアシですがステインレスということですが少し錆が見られます。マグネットで調べると鉄よりは弱いですがわずかに吸い付く現象が有りますのでクロームの含有率が少ない(スプーンなどでも18-8ステンレスというのは錆びます、18-13ステンレスならば絶対に錆びません)材質なのかなと思いますが、なぜそのような材質にしたのかは分かりませんが、曲げやすさや溶接のしやすさに差があるのでしょうか。

この部分に少し問題が有りますが、フルスロットルにすると後ろ側に見えている戻しスプリングと干渉してしまいます。理由は社外タコ足にしたときにインシュレーターが干渉したので手前側にシャクッタためで、それでインシュレーターについている戻しスプリングの引っ掛け爪も手前側に出てきたためです。実用上は問題ないとは思いますが注意点です。(最悪アクセルが戻らなくなるという巷でよく聞く現象が起こる確率はわずかながら有りますが・・・)

エアクリも付けて配管もしてチョークワイヤも付けてほぼほぼキャブ関係は完了です。

燃料配管はレギュレーターの位置を変え、だらしなく曲げられていた銅パイプも整えてステー作って固定しています。メーターがいらん感じもしなくはないですがとりあえず付けときます。外すこともできます。

まだ完ぺきではないですがこの状態にボディーへの追加穴加工一切せずに既存の穴を利用して整えています。

オーナーさんより純正SU燃料配管に戻したいということで戻しています。画像が前後しますがヘッドカバーもまぶしく光るメッキ品からオーナー自ら磨いたというヘッドカバーをさらに少し磨いて交換しています。燃料配管も真っ黒だったのですが少しは磨きました。銅パイプなので本腰を入れて磨くと黄金色になるまで磨けますが、後はオーナー様のお楽しみにしておきます。

SUの接続パイプもこの変な形のものから純正に変更します。

こちらが純正です。まだバンジョーボルトの緩み止めパーツを付けていませんが、この後6角ボルトの頭に緩み止めをかぶせてからフロートの蓋にネジで固定するようになりますがなかなか凝っています。

ヘッドカバーを交換するときの画像ですが、左右に通っているパイプはカムに潤滑油をかけるパイプでいわゆる外がけというタイプで、かなり古い世代のL型の仕様です。L型としてはこの後カムの中にオイル通路を設けてカム山に開けたオイル穴からオイル供給に替わっていきます。純正カムがどうだったかは記憶が曖昧ですが、このオイル穴をカムの軸方向横一線でオイル穴をあけているタイプのカムが有り、これはカムの形を考えればあまりよろしくない設計で、カムの凸の手前にオイル穴をチドリに設けるのが合理的ですね。しかしながらこの外掛けはじゃぶじゃぶとカムの凸部にオイルをかけ続けるのでかえってこちらの方が良いのではとさえ思います。

この時念のためと思い取り扱い説明書どうりバルブクリアランス=カム基準円とロッカーアームの背中の隙間をチェックしたのですが基準0.2mm~0.25(冷間)に対して0.08~0.10しかありませんのでびっくりですがとりあえずそのままとしています。

 

このバルブクリアランスですがDOHCや他のエンジンでは直接バルブの頭とカムの基準円間のクリアランスを測りますが、L型はバルブの頭にロッカーガイドがあるのでかなり幅の狭いシックネスゲージでないと測定ができないのが理由かどうか、取説でもこのロッカーアームの背中とカム基準円の間の隙間をバルブクリアランスと言っています。これでは正確にいうとロッカーアームクリアランスでバルブクリアランスではありません。では基準のカム・ロッカーアーム背中のクリアランスを基準の0.2mmとすると実際のバルブクリアランスはロッカーアーム長さ比率で増幅されて0.3mmとなっているはずですが、多くのエンジンがバルブクリアランスは0.2mmと設定しているのに対して大きすぎです。どうしたらいいんでしょう、皆さんどう思いますか?

額面どうりバルブクリアランスがバルブ頭と押し下げポイントの間の隙間と考えると、L型の場合バルブの頭でバルブクリアランスを0.2mmとするためにはロッカーアーム比を考慮するとロッカーアームのところで0.13mmにすればいいことになります。

 

 でもそれにしても今回のエンジンはクリアランス0.1ですからロッカーアーム比を計算に入れてもバルブ実クリアランスは0.15mmですから狭すぎと思うんですが。バルブクリアランスはエンジンが稼働するとどんどん広がってゆくのではなくどんどん狭くなってきます。理由はカムやロッカーアームの摩耗が微々たるものであるのに対して、バルブシートが定常的に摩耗してゆくからだと思います。

 

この年代でよく寿命となるマスターバックを交換するため、ブレーキマスタシリンダーを外していますが液漏れがある様です。

インナーキットで交換

それぞれ左が旧 右が新

マスターバック側はこんな感じです。

外したマスターバック。入手困難部品です。

やはり内部まで漏れたブレーキ液が入り込み腐食が進んでいます。

運転席側潜り込みついでにヒーターホースも交換してゆきますが、狭いところで体ひねりながらやるので肥満の人・体硬い人にはつらい作業です。

 この年代となると実はヒーターユニットそのものも漏れてくる場合があります。ヒーターユニットは入手はできるのでいずれは交換を考えた方がいいでしょう。

ヒーターホースのエンジンルーム側、ホースグロメットも新品に交換です。

同時にアクセルリンケージのこの蛇腹ゴムも交換。上の画像でガビガビになってひび割れているのが分かります。

そしてもう一点 2枚前の画像でも見えているステアリングダンパーゴムを交換します。古いものはゴムがグニャグニャになっています。

2019年7月26日

 エンジンルーム周りは一通り整備したので、試走やキャブ調整しているのですがその途中で排気管から突然真っ黒な排ガスが出てくる時が見られましたので、

変だなと思っていると

 

この画像中央部の上向きパイプ=フロート室のエア抜きで普段はゴムホースでエアクリーナーにつながっているのですが、このパイプから瞬間ガソリンが吹くのを発見、こりゃフロートいったかな、オーバーフローだと思ったのですが蓋開けてフローと見ても何ともありません。

どうやらここに問題がある様で、タコアシがSUキャブのフロート室に近すぎるのでこれでは鍋でガソリンのお湯を沸かしているようなもんです。

 タコアシにもいろんな取り回しが有りますが、たいていがスポーツキャブ前提なので、SUでどうなるかは考慮されていないと思います。スポーツキャブならINポートからまっすぐにキャブ取りつくし、位置ももっと上の方になるので燃料沸騰にはなりにくいです。このタコアシは他のものよりはさらにキャブに近い感じがします。

 

タコアシ変えるわけにもいかないのでこの純正ヒートインシュレーターの裏に断熱材を貼りこみますが、スポーツキャブの場合でもたいていはこのような断熱材を貼ります。 どの程度まで温度を下げれるか微妙なところです。

 これでもだめな場合はボンネットやインスペクションリッドにスリット入れたり、さらに冷却用電動ファンをつけたりしますがそこまではしなくても収まってほしいです。

取り付けました。

さらにキャブ調整を続けていきます。

夏場はキャブ車にとってはつらい時期ではあります。

2019年8月10日

エンジンマウントを交換した。

左が今までついていたもので左側の接着がはがれてきている。底面側がまだついているのですぐにエンジンが脱落することはないが振動は出ると思う。

 右側が交換する純正新品でパーツナンバーがかかれていることに気づくが旧品にはなかった。また、純正新品は建て込みナットが付いているが、今までのにはナットは付いていなかった。これは見たことない。

純正の場合でも画像右側が上側になり、エンジンをゴム接着面で吊る感じになるが、かなり早い時点で接着がはがれてしまう。振動対策としては良いとは思うのだが容量不足と思う。