安心して乗れる大人の240ZGへの変身ー駆動系編 S30Z R180 デフ オーバーホ-ル
・室内編 こちら 現在のページ
S30Z 240Z Z432 電気配線 シート スイッチ ドアー キーロック機構 ウインドゥ ガラス オーディオ ラディオ パワーアンテナ
2019年7月29日
安心して乗れる240ZG 室内編
当初から電気系がおかしいということで配線チェックとメーター類のチェック、オーディオデッキの純正化などを進めます。エアコンの吹き出し口だけの箱?はすでに取り外しています。
分解してゆく途中でこんな裸線出てきたけどこれはマイナス線なのでまあ良し。
クラスターを外してゆきますが、この世代のZはクラスターがコントロールワイヤー全部一体なので突け外しがすごく大変です。
エアーコントロールもすべて機械式で油が切れるとスライドが重くなってしまいます。掃除して給脂します。
今となってはすごく古いタイプのデッキですが、これからもっと古い純正デッキに交換してゆきます。
s30zのラジオデッキの修理
オーナー様がオリジナルの8トラデッキラジオを持参されましたがその動作はまだ確認されていませんのでオーナー様のご友人である遠藤さんと一緒にチェックしてゆきます。
ラジオは受信音出しOK
オートチューニングも問題なく動作
オートチューニングの感度切り替えもOK
8トラデッキ部については回転が不安定なのでばらして確認しています。右上の丸い大きな金属のコマのようなものが回転を安定化させるフライホイールで、レコードプレイヤーで言えばターンテーブルのようなもので、これがデッキのほぼ中央の軸受けの上に刺さってテープ回転機構につながっています。
フライホイールが動きが渋い理由をいろいろ調べてとうとう突き止めて修理しました。原因は軸受け部の摩耗・変形によるものでした。そこを修復した後高級オイルで回転部をメンテナンスします。
ちなみに左下にあるマブチモーターのようなものがオートチューニングの動力源でギヤでリダクションしています。
修復後8トラテストをしていますが遠藤さん持参の日産純正部品の試聴パックが泣かせます。デッキは問題なく回ってくれました。
次にスピーカーとオートアンテナのチェックで
スピーカーは左右共に音出しOK、オーディオ配線も生きていました。
オートアンテナはモーターは動くもののアンテナの上げ下げはだめでした。
オートアンテナユニットを外しますが外すだけでも少し知恵を使わないと取り出してくることができません。
分解してみると昇降用樹脂ワイヤーとアンテナが分離していました。樹脂ワイヤーが疲労骨折しています。ここにはワイヤーの過回転を逃がすためのフリクションクラッチが装置されていますが錆で無理がかかったのではと思います。
アンテナの一番先の細い部分のロッドと骨折した樹脂ワイヤーを工夫してつなぎこみます。
子の画像は分かりにくいですが遠藤さんのこだわりでアンテナ先端のギボウシを純正のひし形品に取り付け直している図です。ギボウシを切り出してきてアンテナ先端ロッドへ溶接しています。
s30zのフューズボックス、配線類
フューズボックス部分、ほとんど配線だけになりましたがこの配線、かなり改造されてしまっています。
不具合内容としては
・マップランプがつかない
・ルームランプがつかない
・グローブボックスランプがつかない
これらはすべて同じ系統でフューズボックスの右側下から2本目のフューズのところで、今は外してありますが入れれば何回でもフューズ飛びます。
さらに
・ウインドウォッシャー液が出ない
・パッシングが出来ない
・パーキングランプがつかない
・シガーライターソケットが使えない
・時計が動かない
などとなっています。走るために最低限必要な部分は残っているのでまあ、普通の状態かと思います。フウ
とにかくどんどんはずしてゆきます。
時計を外しましたが単体テストでやはり動きませんでしたので時計内部の故障と思われます。
ハンドルポスト部分
キースイッチに追加されている赤い太い線は燃料ポンプ用に追加された配線だが何もここまでさかのぼって接ながなくてもいいような気がするが。
このセクションでの不具合はパッシングが出来ないと、ウインドゥウォッシャーが出ないである。
ハンドル右側ダッシュしたの配線の束、比較的新し目に見えるんだが。
24014N3000と読める。
ここで持論を一席
これはs30zの電気配線図だが非常に見にくい。頭が痛くなってくる。
そして私をはじめとして初心者が一番騙されやすいところがこの赤丸印の中のアンメーターのWR線にマイナスの記号がふって有るところなんですが、もちろん真っ赤なプラス線です。
電気屋さんなら何そんな常識的なとこでひっかかんのと思われるかもしれませんが、ヘッドライトのマイナスコントロールも含めてこういうところが実にまちがいやすいのです。
ヒューズが飛ぶ件についてはだんだんと絞り込んでいってダッシュからルームランプまでの配線のどこかでショートしているところまでは掴んだが、これらの配線は束になったり室内内張の裏だったりとそれ以上追及するには内装ほとんど取っぱずしとなるので、もうあきらめバイパス回路を作ります。
ウィンドウウォッシャーについてはそもそもウォッシャーモーターが動かない。
モーター単体でも動きませんでした。交換しかないかな。と思っていたのですが後からもう一度チェックしたら動き出しましてOKです。やはり配線側の問題のようです。
純正デッキの組み付けに入っている
ほぼ組み終わったのでテストに入ります。
ラジオデッキについて当初は左音声が出なかったので慌てましたが単なるバランスボリュームの接触不良で事なきを得ました。オートチューニング、パワーアンテナもほぼ問題なし。
ここでシートをオーナーさんの人脈であの有名なSさんで
やり直してもらうことになったので左右2脚外して分解して発送に備えます。シート座面はベルト式ではなくウェービングスプリング式です。
2019年8月19日
S30Zのシートの神様=須藤自動車工業
オーナー様がシートの張替えを依頼したシートの神様のところへシートの受け取り、兼、ご挨拶に伺いました。ご本人は神様と言われることは決してうれしくはないと思いますがこちら側から見たらやはり神様です。
そもそもどんな状態でも絵になるところが私から見たらこの道一筋50年の神様ですが、ご本人が一番幸せなのは「下町の内装職人」と言われることなのかもしれません。
完成品を見せていただきさらに座り心地まで試させていただきましたが、座るまでもなく見た感じですでにオーラが違うと感じました。縫製、表皮の張り具合、ふっくら感、すべて言うことなしです。さすがに多くのエンスーが認める技術と思います。
この左側が今回のオーナー様のシートで、右側は長野の方のシート=私がミントなZで掲載したZ用 とのことですが、一見同じように見えますが実はだいぶ中身というかチューニングが異なるとのことでした。
左側はシートの包まれ感を重視してチューニング
右側は長野の方の大重量(失礼)に十分耐えれる座り心地を実現するチューニング
とのことでした。
チューニングには画像シートの横に見える3種類のスポンジを使い分けていると教えてもらいましたが、主として真ん中の四角の細長いスポンジ(硬さも試させてもらいました)をシートクッションの補強として用い、入れるカ所により座り心地を変更していることを聞きました。やはり入れるカ所は自分の想像とは異なっていました。そして一番下のクッションがまた特殊なもので、これでシートの張り具合を調整するということの様でした。一番上の白いスポンジは座り心地(柔らかい)をコントロールするもののようです。
これが縫製用のミシンですが現在の日本ではすでに入手できないものでしょう。私も革用ミシンを持っていますが未だに使いこなせない感じです。
シートを持ち帰って取り付けに入っています。
座面とシートバックの間の隙間がすごく狭くなっていることが分かりますが、これ以上狭くするとシートバックが干渉して倒れにくくなるとのことです。
この背中の部分、空気抜きの鋲が付いているあたりを3CM程張り出し整形をしているとのことです。腰痛持ちにはうれしいチューニングですが、ノーマルはどうしても体形がCの字に曲がってしまうので腰が痛くなります。
このラインの部分、私は自分ではこのようにきれいなラインは縫えないなと感じた部分ですし、型紙がよほどしっかりしていないとできない技だと感じました。
座り心地を左右する座面のスプリングですがスプリングのアーチ、それぞれのつなぎ方、スプリングを受ける補強布の材質と貼り方、特に重要な箇所は2重に貼るというような工夫がされているようです。
私が感心したのは座面シート外周をシートフレームに固定する爪が全く均等に乱れなく加締められているその精度です。
須藤さんのシートにはこの部分にこのラベルが付いています。
シートを取り外したので床面が良く見えるようになってきましたがやはり長年の経年変化が表れています。この車はフロアーマット2枚重ねの下、この床板との間に新聞紙を厚く重ねて入れてあったので(おそらく湿気除けの為)ですがそれが良かったのかどうかかなり錆は出ています。
この部分は穴が開いていますがここの下に床下補強リブが通っているところだと思いますので溶接部分から錆が来ているのではと思います。本格的に直すには錆部分を切り取って張替えですが、そこまでやるかどうか微妙なところです。
ちょっと目先を変えてメーター類、特に時計の修理に入ります。グローブボックスを取り外しますがこれはダッシュ取り付け前に裏から取り付けられているのかどうしても前側に抜こうとすると紙なので破けてしまいます。
時計外しましたが画像中央のギヤの歯面に丸い針がねのような金属が挟まっているのが分かるでしょうか。
どこから来たのか皆目見当がつかん。
そのほか全体的に粉を吹いたように汚れがびっしりとついています。
私はこの手の時計は全種類修理することを営業品目としてやっていますので、たいていは何とか致します。詳細は S30Zの時計は電気時計 こちらで。
とにかく分解してゆきます。インダクションモーターは生きていましたのでまだ何とかなります。
インダクションモーター部
中央のかなめとなるギヤは手持ちのギヤと交換しますが、このギヤの手持ちはあと数個しかありません。右側に転がってるのが今までついていたもの。
分解したギヤ類も何やらいろんなものでギタギタですが比較的新しいグリース状!!のものが付着しているんだがこれはなんかいな。グリースは絶対にダメ、せめて粘度の低いミシンオイルぐらいにしてくれ。
復元に入っています。
復元完成して精度試験に入りましたが時間制度は素晴らしく良いです。
又電気系に戻ってハンドルコラム部分のチェックに入ってパッシング不可の対策をしてゆきますが、スイッチ類がすごいことになっています。
こんな感じですがスプレーグリスをぶっかけたという風に見えます。
隙間という隙間にグリースがびっしりついていますので少しずつ取り除いてきれいにしてゆきます。
パッシングについてリレーは生きていましたのでウインカーレバーの先端のプッシュボタンの機能確認で問題ないことも確認したうえで、プラス電源線を復活させることで修理完了です。
並行してメーター類の整備も致します。
タコメーターを外しました。
K.Sのハンコから関東精機製だと思います。
2019年8月4日
S30Zのドアの修理
特にドアのロック機構や鍵の部分は動きが重くなる場合が多いです。この240Zは運転席側のロックが出来なくなっていました。
内張ビニールを外して、全分解に入ります。
ドアのガラス機構はこの狭い空間の中で組み立てられているので知恵の輪的なやり方でないと取り外せません。
大まかな順番としては
・ガラスを3/4でバキュームカップで固定
・内部のパンタ類を取り外す。これにも順番と方向が有り、その通りやらないと外せません。最初は小レールからです。パンタは後ろ側にしか抜けません。
・ガラスフロントのスライドレールを上に抜く
・ガラスを前に少し移動、こうしないとサッシが抜けない。
・サッシを前を沈めてから後ろから上げて取り出し。
・ガラスを持ち上げる。
となります。
この240Zにはこのガラス押えローラーがちゃんとついていました。(分解時は最初の段階で取り外す)これが無いとガラスを最下部まで下げるとガラスが出てこれなくなるのですが、今ではついている個体の方が少ないくらいで、新品も売っていますがとんでもない値段がついています。これも代替品作ろうかな・・・。
全部取り外しました。
取り外した小物類。
左側でくしゃくしゃとなっているのがドアのロック機構部です。
サッシの後ろ側レールにはガラスをガイドするガラスランというフェルト状のガイドが有りますが画像のようにくしゃくしゃになってぶら下がっていました。
ガラスランの新品を購入して交換します。
交換後、今後は下にずれないようにボルトでストッパーしておきます。一工夫。
このステーが取れている
溶接付けなおし。
この右側サッシは曲がり変形ダコンがかなりありあまり状態が良くない。
左側ドアのガラスが下端まで下がらないとのことでこちらもガラスランが限界だと思います。
左ドアのパンタはすごくきれいで新品のように見える。なぜ左だけなのか疑問がわくが、ガラスが下がらないことへの対処だとしたら見当違いだったことになるのだが。
ドアサッシを外してみるとやはりガラスランがへにょへにょになっている。フェルトでできているのだが古くなると弾力がなくなりオイル分もなくなり少し押えただけで粉状になって崩れていきます。少しの劣化時点ではシリコンスプレーでだいぶすべりは良くなります。
取り出したガラスラン
こちら側はロック機構や開閉操作に特に不具合はなかったのでそのままです。ドアグリップは新品を支給されたので交換します。