2020年1月8日
HLS30Z 帰国子女の車会復帰
テキサスから逆輸入されたばかりというこのHLS30を日本でもしっかりと走れるようにしたいというご要望でお預かりしました。
S30Z 帰国子女の足回り
サスペンションですがサビサビの砂だらけなのはともかくとしてスプリングがバリアブルの硬めの設定で突き上げが気になります。USA人の好みなのかそれとも設定なのかものすごく初期たわみを大きく取って有り、純正以上に長いコイルをものすごく縮めてセットしてありますのでストローク初めから固い状態だと思います。
ストラット外してサス周りの砂とオイルの混ざって固まったものをこそげ落としてゆくとこんなに出てきました、テキサスの砂です。
ショックはこの見慣れないカヤバのカートリッジでした。オイルショックです。
今度はビルシュタインに入れ替えていきます。
スプリングはノーマル調整品に変更しています。これだと車高が3cm~4cm下がるようになります。スプリングの硬さはノーマルとほぼ同じになりますが、ビルシュタインショックで動きをコントロールしてノーマルスプリングでコーナリングでも安定した乗り味を出してゆきます。ビルシュタインショックは自分は減衰力を何度か調整してもらい良い値を探し出しています。
同時にブレーキのチェックに入ります。
キャリパー外しましたがサビサビです。
特にこの1っカ所のピストンカップは抜けてくる気配が有りません。通常のやり方でブレーキパイプからエアー圧掛ければ大抵の場合抜けてきますがここまで錆びるとびくともしません。ピストン固着ということです。
ピストン捨てる覚悟でここまでやりましたが全くダメ、キャリパーからピストンが抜けないとキャリパーがオシャカになります。
固着している側のローターはサビサビでほとんど効いていない状態だったようです。
まだ動いていた方はローターは正常ですが対向キャリパーの場合こうなるとブレーキの効きは最悪になります。
おまけにキャリパーからブレーキパイプ取ろうとしたらポッきりと。
いずれにしてもこれじゃだめだな。銅パイプって40年経つとこのようになるんですね。銅矛・・銅鐸・・
ブレーキマスターシリンダーをはずした。
ブレーキブースターがなにやらヒョウ柄のようになっている。
ブレーキマスターはトキコなんですがUSA当時仕様ですが、上の日本仕様とかなり異なります。下側に出ているブレーキパイプの接続口がフロント Fとリヤー Rが逆で位置も異なっています。
トキコの7/8のブレーキインナーキットはまだ手に入るのですが、下段の左が今現在流通のキットで右側がはずしたピストンですがこの時点ですでに形状が違い、USA品はピストンストッパーを胴部の長穴でやっているので現在流通品は取り付けできません。
以下、私の掲示板への投稿記事です。
(Tuesday, 07 April 2020 13:50)
はじめまして
以前よりHP拝見させていただいております。
当方も「帰国子女の…」の240Zと同タイプの初期型マスターシリンダーのO/Hを試みたのですが
奥にあるプライマリーピストンを取り出すことができず、中断しております。
エアーを吹き込んでも構造上抜ける方向に力が掛からないようでしたので、ピストンの穴を利用して軽く引っ張ってみましたが無理でした。
e-zaさんの方では問題なく取り出せましたでしょうか?
もし取り出しに成功しましたら、記事にしていただけると幸いです。
このようなご要望が掲示板経由で有ったのでピストンを何とか取り外しました。フロント側のピストンは左側の黒いブロックの切り欠きの所でサイドからストッパーを掛けるようになっているのですが、今回の場合ストッパーボルトをはずしてもピストンは抜けてこないどころか、カツンと何かに当たったようになって全く抜けません。
このフロント側のピストンがどのようにストッパーがかかるかというとこのように左側黒いブロックの切り欠きの部分に画像M6ネジのストッパーバルトが刺さるのですが、この時ピストンのストッパー切り欠きが円周上3か所にあるので回転方向を気を付けてボルトを刺さないとうまく止められないのです。ここからは想像ですが、前回これを組むときにこの3か所の切り欠きを気にせずに組んでストッパーボルトを締めこもうとしても差し込めないのでネジを無理やり押しながらピストンぐりぐりして無理やり締めこんだのではないかと思います。そのため3か所の切り欠きのヘリを変形させながらストッパーボルトを締めこんだのでしょう。結果ピストンのストッパー側が少し変形してストッパーネジの穴に加締められる感じになったのでしょう。
私が今回どのようにしてこれを外したかというと、ブレーキマスターのフロント側からφ4ほどのドリルで穴をあけてその穴からピンポンチを差し込んで叩き出して抜きましたが、その間に他には何のストッパーもありませんでしたので本当に単にピストンの引っ掛かりだけでしたがかなり強い引っ掛かりでした。
この方法だと再使用に難がありますが空けた穴にねじ切りしてボルトで栓をすれば使えないこともないかもしれません。(もちろんテーパーネジや銅ワッシャーを使って漏れないように)しかしこの時代のインナーパーツもすでになかなか手に入らないのでそこまでして再使用するのは外観的な意味しかないかもしれません。
今回はもっと後の中期ぐらいの世代のトキコのブレーキマスターの中古を探し出して交換しましたが、これならまだインナーキットも入手で来ますし、マスターシリンダーそのものも買おうと思えば新品がまだ入手できますので、こちらの方がずっと安心です。ただし、国内物のこのマスターだとブレーキ配管がF、Rが逆になるのでブレーキ配管を外して伸ばして曲げなおして何とかやっと配管を逆転しました。新たな配管を使えばもっと楽にできるかもしれません。
ただしこのようにブレーキマスターの型式を変えた場合注意しなければならない点があります。それはブレーキブースターから突き出ているプッシュロッドの先端がブレーキマスター側のピストンの押し面とほとんどツライチであることが必要で、ここの隙間が大きいとプレーキペダルの遊びがその分大きくなります。逆に隙間が無く突き上げている状態だとブースターが壊れたりブレーキが引きずるようなことになることでしょう。今回と同じような状況の変更をした場合前述の隙間は14mmも出てしまうことになりブレーキの遊びが大きくなり、ブレーキのエア抜きさえままならないことになりますし、そのままだとブレーキペダルの遊びが多すぎブレーキの効きが悪くなります。ブレーキブースターごとアッシーでマスターもセットで交換なら問題は出ないです。
ブレーキキャリパーもリペアキット使って復元してゆきます。このようにきれいになると気持ちいいです。
キャリパー取り付けて、サスもビルシュタイン交換済み、ブレーキホースはステンメッシュの黒コーティングで交換。
折れたS字配管はアフターマーケットで購入した。
画像が前後しますがキャリパー取り付け前にハブベアリング交換しています。つまりこれらの一連のことを手順よくやることでダブり作業が防げます。自分はダブり作業するとイライラするので常にどうしたら楽にできるかシミュします。っていうか手順を考えている時間の方が実際の作業より長くなる傾向にあります。今あるところから素直に作業進めた方が時間的には早いかも。
外したホイールベアリングは真っ黒。
インナーレースももう研磨面とは程遠い状態に
拡大するとはっきりとわかります。これではゴリゴリしていることでしょう。
ストラット側にあるインナーベアリングのオイルシールはこのように。シールリップがぺったんこの平面になっています。
こちらが新品シールでリップは三角に立っています。ベアリングよかこちらのシールを定期的に変えるべきなのかも。
完成まじかとなってきていますが、主がこのハーレーで見に来ました。
見るからに今どきのハーレーとはオーラがちがいます。
帰国子女と合わせてアーリーアメリカン 古き良きアメリカの時代・・・
テネシー
大荘園
綿花畑
平原
まっすぐな道
帰国子女のリヤサスペンション周り
ここはショックとスプリング交換とリヤハブベアリングの交換がメニューだが問題発生
いつもなら車上ですべて完了できるのだが、今回は何ともリヤハブ固定ナットが緩まない。全く緩まない。
仕方なくリヤサスいっしきはずしています。ここの錆も激しくひどい。部分的に錆が出ているなんてもんじゃなく全体が均一に錆びている。
この部分に変形が見られるが全体的に見ればこの部分ではたいしたことじゃない。
今回はせっかくなのでリヤサスのかなめであるこのインシュレーターゴムも交換してゆく。
ハブナットの取り外しにかかっています。ハブを固定しないと緩めることができないので定盤に治具で固定して、ハブナットにボックス駒付けてレンチに延長パイプ付けて回すのですがそれでも全く回らない。途中で逆ネジじゃねと思い直して調べたがそんなことは無い。
画像でひどかった赤さびは大部分が黒っぽくなっているが、錆転換剤で処理して黒錆に変わったためです。このような下回りを中途半端に上塗り塗装してもすぐに浮き錆が発生してきたなくなるので通常は外観はいじらないのですが、今回はあまりにも錆がひどいので錆止め作業のみしてお行きます。これは錆進行は止められないですが塗料では無いので剥がれは少ないと思います。ここまで錆びるとこれを完全修復させるよりほかのパーツを探して塗りなおして交換の方が効果が得やすいと思いますので深追いはしません。
残る道はナットの強度を落とすしかなくいろんな手段で攻撃してゆく。もう戦争だ。
そしてついに何とか外したがこのように主砲にダメージを受けてしまった。
ブレーキドラムを外したがちなみにいつもなら簡単に外れるドラムが錆で固着して外れなかった。
右側に見える長いパイプはハブナットなどの固着した時に登場する秘密兵器の延長パイプ、鉄パイプともいうが結構役に立つ。
そしてさらに通常なら銅ハンマーでたたけば抜けるはずのハブシャフトそのものが抜けない。仕方なく油圧プレスにセットして油圧掛けて抜いてゆく。
ハブの中はほとんど空になっている。本来はこの中にグリースが半分以上充満していなければならないが今は鉄地肌が出て乾いている状態。
ハブグリースが固まって指で持つことができる。
ここのオイルシールもやはり三角がぺったり平面になっています。これではグリースも全部抜け出していってしまうはずです。
復元に入っています。これで左側が何とかなりそうですが、右側も同じ状況だとめまいがしてきそうです。
リヤドラムブレーキについてはメンテナンスしてあるようできれいでしたので、このままです。
結局右側も全く同じ手順が必要でした。
ビルシュタインを固定しましたが、ショック外筒がサス上側にありスライドメタル兼用であることが最大の特徴で、これによりばね下荷重の軽減、減衰力の対価の発生熱の放熱、スムーズなサススライドを得ることができます。
46年式のs30zはデフが前側にオフセットしているので、デフ後ろのサス保持タワーを横につなぐメンバーがL字アングルを切っただけののようなまっすぐの形をしています。この時代のあとからはデフが後ろに下がりこのメンバーもプレス製の後ろに湾曲したメンバーに変わっています。
これでリヤ足回りハブベアリング・ショックアブ・スプリング・ブッシュ(アーム根本側)の交換が終了。