71BコンパチB’ β7号機~
71Bのプロペラシャフトがフランジタイプの場合、71BコンパチCにしようとするとスプライン差し込みタイプのプロペラシャフトが必要になりますが今S30Zのプロペラシャフトはめったに手に入りません。そこで今回はフランジタイプはそのままで中身を全ワーナーシンクロに入れ替えるβバージョンで組みます。ワーナーシンクロは71Bの最終バージョンとなりますが71Cのように大径ではなくまたダブルシンクロでもないですが71Cが出るまでは普通に使われていたシンクロで、この後71Cになるまでギヤを厚歯にするにあたりシンクロを強化する必要が出て大径のダブルシンクロに代わりました。サーキットはめったに走らない・チューンもほどほど2800cc以下の普通の状態であれば全く問題なく使えると思います。純正ではフランジタイプはポルシェシンクロですので、これも純正ではありえないバージョンとなります。
2017年1月13日
71BコンパチB’ β7
愛知のHさんから、ミッションが2-3速調子悪くシフトが困難とのお話で、対応することになりました。現状のミッションを見たのですが全長が短いショートタイプを無理やり乗せているようです。シフトレバーも溶接つぎはぎのようです。
この際、全体的に正規の状態に戻してゆくことにします。
240Zですので71BコンパチB’ βバージョンでフランジタイプにしてゆきます。
1-2速を組みましたがフランジタイプなのでリヤのスプラインの後ろにフランジ留めねじ部が付いています。
3速ですがここもワーナーシンクロになります。
5速もワーナーシンクロです。
これでフランジタイプでありながら5速のポルシェシンクロリングの欠品に苦労することはなくなります。
ギヤ比は高速にマッチする0.75となります。0.83 (0.86)も選択可能。
サーキットなら0.83がよいかも
5速の後ろは私の編み出した技、スラストニードル機構を構築します。もちろん71Bでは純正では存在しない構造です。
また同時にM38ナットを同じくサイドロックボルトで緩み留めを完全にします。
ギヤ部が完成
ギヤ精度
1st 2nd 3rd 5th
エンドプレイ
0.39 0.11 0.28 -- 0.22
バックラッシュ
0.14 0.10 0.09 -- 0.16
シフト関係が付きました。
シフトフォークは軽量で剛性の大きなジェラルミン製でスライド部にはスライドメタルがありますので摩耗にも強くなっています。
完成しました。
簡易回転試験機e-zanaraizerで2500rpmまで回してチェックします。イーザナライザーも当初の500rpmからとうとうこの2500rpmまで回せるように性能改善してきました。理想はやはり7000rpmまで回したいですけど。
外観フランジタイプ71B(通常は全速ポルシェシンクロ)から中身全速ワーナーシンクロにコンパチブルしたβバージョン。
特徴はシンプルであること。これでオイル入れても漏れない単独で完結したミッション・ギヤ歯厚は2800ccまで採用されていた通常71B歯厚ですので重量が軽くシンクロにも負担が少ないです。そして今や高価なスプライン差し込みペラシャを探さなくても今まで使っていたペラシャをそのまま使うだけですのでコストパフォーマンスが良いです。
一日日帰りコースでミッション乗せ換えをすることになりました。詳細はこちら
2017年2月11日
静岡県内のTさんから2速が具合悪く治したいということでご依頼を受けました。
71BコンパチB’ β8
今回は現在乗っているミッションを送ってもらっての現物改造です。早速分解しましたがFLタイプですので当然ポルシェシンクロです。ギヤ比は通常タイプ。これから分解してゆきます。
やはりまず一速、画像中央のCシンクロの開いている部分から右側に金属むき出しの状態になっています。シンクロの限界です。
今回の直接の不具合2速もこの通り同じ個所がもっとひどくほぼ全周に渡って金属表面が出ています。
これからβバージョンのいつもの手法で全速ワーナーシンクロに変更してゆきます。
5速は高速でゆったり走れる0.75ギヤ比(71B純正ではありえないギヤです)。そしてさらに71A・71B系の欠点である5速裏の焼き付き防止機構スラストニードルベアリングを構築します。もちろんこれも71Bではありえない機構です。
これは5速の焼き付きを防ぐとともに、この大きなM38ナットのゆるみを防ぎ、またギヤ回転抵抗を減ずることでシンクロ作用の手助けもします。
ギヤ部完成
1ST 2ND 3RD 5TH
エンドプレイ
0.32 0.10 0.18 ---0.20
バックラッシュ
0.11 0.12 0.05 ---0.06
申し分ない値です。
リヤエクステのこの部分の内部にこの金属冠付のオーリングが入っていますので交換します。
2017年6月21日
71BコンパチB’ β10
フランジタイプのこのミッションをβバージョン化します。
もともと71Bであるところに71Bの最新バージョンを入れ替え、欠点を補正するこのバージョンの特徴はシンプルであること。事実、重量が軽く回転抵抗(簡易試験機で負荷アンペアでわかる)が少ないです。プロペラシャフトの心配も不要です。
それにしてもオイルが墨のように黒いですがこのようなミッションはあまりハードな使い方はされていない場合が良くあります。
部品の一コマ
ギヤ部が完成ですが精度は
エンドプレイ
0.23 0.13 0.10 --- 0.16
バックラッシュ
0.09 0.10 0.08 --- 0.12
このフランジタイプのメインシャフトにワーナー特に5速もワーナーが組まれていることを不思議に思う人はかなりメカ通でしょうね。
5速の裏には標準ではありえないスラストニードルベアリング仕様に構築して操作性と耐久性、抵抗を減らします。オプションです。
2017年7月17日
71BコンパチB’ β11
今回はβバージョンでもスプライン差し込みタイプで作ります。限りなく純正に近くしかもその欠点を補正したこのミッションは、ある意味こだわりのミッションです。特徴はシンプルであること。
一次減速は3.57と3.3がありますが、現在の道路事情では3.3が良いでしょう。
71Bの欠点を補正する5速裏スラストニードル仕様はオプションです。ご依頼で構築しました。
私が考え出した71Bの欠点補正対策で他ではやられていない方法だと思います。
1速~5速までワーナーシングルシンクロ
ワーナーダブルシンクロとするとαやΩバージョンとなります。
1ST 2ND 3RD 5TH
エンドプレイ 0.29 0.15 0.21 --- 0.23
バックラッシュ0.11 0.16 0.09 --- 0.13
ほぼ申し分ない値です。
完成です。
(シフトレバーは試験のために仮付けしたものです)
シフトレバー支点間距離が38mmと43mmと2種類あります。お使いのレバーが43mmの場合は必ずウサギの耳(シフトレバーを挟む部分)の上側の支点を使ってください。
2017年10月14日
71Bショート β12
同じ静岡県内の方から71BのOHを依頼されました。クルマは510ブルでミッションは5速のショートです。この前のブルUはロングでしたのでいろいろ変遷がある様です。
分解した時点で内部はかなり新しそうに見えました。ベアリングについては経年のゴリゴリ感が見られましたので全部交換します。
シンクロはワーナーですが不具合が見られるところだけ交換します。
このミッションのセンタープレートはアルミ製で軽く指先で持つことが可能です。
ギヤ精度
エンドプレイ
0.22 0.14 0.22 -- 0.30
バックラッシュ
0.08 0.17 0.14 -- 0.09
5速のエンドプレイが大き目ですが問題ない範囲と思います。
このミッションのフロントカバーはひどく編摩耗していましたので、クラッチ系になにか問題がありそうです。
2017年12月26日
71BコンパチB’ β13
外観71Bポルシェフランジタイプで中身71Bフルワーナー化
特徴はフランジタイププロペラシャフトのままでワーナーシンクロミッションとなること。純正ではありえない仕様です。今では入手困難な差し込みタイププロペラシャフトが無い場合でも現状の純正フランジのままでワーナー化ができます。
逆に言えばぱっと見旧式のフランジタイププロペラシャフトなのにミッション内部はワーナーというありえない状態になります。
今回は懇意にしているショップさんからのご依頼です。L型エンジンのフランジタイププロペラシャフト用のミッションですが、βバージョンでオーバーホールのご依頼です。
支給されたミッションですがフランジタイププロペラシャフトの2分割71Bポルシェシンクロです。
分解してゆきます。
全体的にはあまり極端な破損はありませんがこの時点でこのメインベアリングがひどく消耗摩耗していることが分かります。明らかにガタが大きいです。
このミッションは過去に2回ほどメンテナンスされているようで、シンクロなどはあまり消耗していませんでしたが、なんか違和感があります。
さらに分解してゆくとこの1速のメインギヤですがスラスト面が激しく変形しています。これでは再使用は不可能ですのでオシャカとなります。
このミッションはこの1速のギヤ歯数から240クロスであることは明白ですが、それゆえになかなかこの破損したギヤを補てんすることは現存数がますま少なくなっている240クロスの現状では逆に難しくなってしまいます。
上記1速メインギヤの相手側のハブですがやはりスラスト受け面が激しく変形して焼き付き寸前です。
この1速の状況では全変速域で回転に負荷を掛けますので1速シフト以外の全ギヤで変速しにくくなっていたことと思います。
このミッションを修復するには
1)通常のギヤ比3.3から始まるギヤ比でワーナーシンクロへ変換する。普通のドライブでは乗りやすくなります。通常のβバージョン
2)71B用カメアリクロスを購入してワーナークロスミッションとする。これでサーキットから峠までスポーツ走行がすごく楽しめる。ただし費用が+140000円かかります。
3)ポルシェシンクロの純正240クロスの1速ギヤを入手してオーバーホールする。現在240クロスは価格が高いので+80000円ほどかかります。そのうえで、癖のあるポルシェシンクロを使わざるを得ないですので、マニア好みの選択となります。
2018年1月22日
71BコンパチB’ β13
今回は71Bワーナーとすることになりました。
71Cのダブルシンクロでは無いシングルですが、普段乗りではもちろん十分良好なシフト感が得られます。1速は3.3から始まる乗りやすい仕様で、2速3速は240クロスとほぼ同じギヤ比となります。
5速は今回はこだわりの0.83ギヤ比のワーナーギヤにしますがかなりレアです。(通常は0.86ポルシェです)もちろん純正の71Bでもありえなかった仕様ですが、これをフランジタイプリヤエクステで組みます。
71Bワーナーのハブ・スリーブはこの画像の右上のがそうで3か所あるキーが削り出しブロックで構成されていてお金かかっていそうです。
ギヤ精度
1ST 2ND 3RD 5TH
エンドプレイ
0.32 0.22 0.26--- 0.21
バックラッシュ
0.12 0.12 0.09--- 0.09
5-B側
5速がワーナーであることが分かります。
しかも71Bポルシェの0.86ではなく、71Cの0.75ワーナーでもない 0.83ワーナーとなります。2400ccくらいにちょうど良いギヤ比だと思います。
メインシャフトM38ナットは必ず私の考え出した技サイドロックボルトで固定。
この通りリヤエクステはフランジタイプで組みます。
これで中身がすべてワーナーとはなかなか信じられないと思います。
これだと新たにスプライン差し込みタイププロペラシャフトを入手する必要もなくワーナー化ができます。