2014年2月22日 71BコンパチC α29 エキストリウム
今回はやはり有る縁あるところからの依頼です。
71B支給でコンパチ化します。
依頼主はS31Zの71Bポルシェシンクロ仕様ですが、ミッションが不調でさるところに分解修理を依頼したが、対応出来ないと断られたということです。
その後、あるご縁の方経由で私の所へまわってきました。
71Bポルシェシンクロでも私の所ならもちろん問題なくオーバーホール可能ですが、今後のことを考えるとまだ補修部品の出るコンパチ71Cにした方がいいのではと提案して、それならということになりました。
71Bはすでに外してあるということでケースごと支給していただきましたので、これを先ず分解チェックしていきます。
いままで使っていた71Bの状態チェック
一番手前が3速ですが、丸いシンクロ外周がピカピカに光って摩耗しています。ここまで摩耗のひどいポルシェシンクロはいままで見たことが有りませんでした。これではシフトは入りずらかったと思います。
これは1速ですが同じくシンクロはかなりひどく摩耗しています。
2速はまあまあ普通の摩耗具合で、やはり交換時期の状態です。
4速・5速は何とか使えるレベルの状態でした。
全体的にはギヤやハブ・スリーブが摩耗や変形が少なくすごくきれいなのに対して、シンクロリングの摩耗がすごく激しいと言えそうです。
71Cギヤ部の組みつけ
また、いつもの様に組みつけていきます。
71Cのドナーは中古品ですので、一度完全にバラバラにしていきます。
メインシャフトやカウンターシャフトの曲がりをチェックして問題ないことを確認です。
そしてメインのベアリングをシールドタイプで打ち込み直します。
これは1速と2速関連の部品で、シンクロとベアリング類はすべて新品にしていきます。
フロント側のサブASSYが完成です。
3速関連の部品です
そして4速インプットシャフトの部品です。
インプットシャフトのベアリングは負荷が厳しいですから交換は重要です。
フロント側4速まで組み終わりました。
カウンターの1次ギヤの前側にはギヤチャタリング防止シザースギヤが付いています。
71Cからの装備ですね。
5速とバックの部品です。今回はバックはリンクタイプです。シンクロは付いていません。
ギヤ部はすべて組みつけ完了したので、精度確認していきます。
BR EP
1ST 0.14 0.30
2ND 0.05 0.15
3RD 0.14 0.25
4TH (0.05)
5TH 0.08 0.25
シフトフォーク類の組みつけも終わりました。
71BコンパチCミッションケースへの組みつけ
リヤエクステンションを完全分解してストライキングロッドの改造をします。
ここは追加工しないとコンパチ化は出来ません。組み鋳付けは出来るのですが、
問題がでますので、必ず追加工が必要です。
オイルシールやオーリングを交換してオイル漏れを防ぎます。
ケースへ組みつけ完了して、自作簡易試験機e-zanaraizerで回転試験していきます。
シフトの感じは1速からバックまで申し分ないです。シンクロはすべて新品ですから当然ですが。
異音・変な振動もありません。
オイル漏れももちろんありません。
そしてこの状態で5速に入れて500rpmで1時間回しっぱなしにして温度上昇量を測りますが、今回は8.6度cの変化量でした。通常10度くらい上がりますが、このミッションは抵抗が少ないようです。
1点問題があります。
シフトレバー関係なんですが、画像はフェアレディーS31のシフトレバーですが、画像で示しているところの寸法が通常は50mmです。
でも今回のリヤエクステンションのシフトレバー取り付け部の該当寸法は43mmのタイプでした。
依頼元へ確認したのですが、シフトレバーもセットで43mmで有ることを確認したのでつじつまはあっているようですが、シフトレバーは何をつかっているのかな?そういうタイプもあったのですね。
アップします。
これとは別にL型用ミッションにはここが43mmぐらいの物が有ります。
これが取りつく部分のリヤエクステンションのストライキングブロックの寸法もそれに合わせて2種類あります。
それはセットで使うのですが、これをクロスして使うことは難しいです。
組みつけは出来るので気がつかない場合もあるのですが、シフトに影響が出ます。