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71BコンパチC Ωバージョンは71Bミッションの中身を71系最終バージョンの71Cに入れ替えて性能回復を図るバージョンです。Ωバージョンは純正でも存在しない4速まで強烈なシンクロのかかるダブルシンクロとするバージョンです。バージョンとしてΩ、α、β、γ各バージョン×クロス組バージョンが有ります。
2023年2月16日
71BコンパチC Ω52クロス 240ZG LYエンジンレーシング仕様テストカー用
240ZG LYエンジンレーシング仕様テストカー用としてΩバージョンを作ります。
LYエンジンですのでL型とはエンジン自体はだいぶ異なりますが、ミッションとしては同じ71B系ですのでΩバージョンでミッション自体は適合します。
ただ問題はフロントベルハウジングでLYエンジンはものすごく特殊なベルハウジングです。
今まではもちろん日産オプション直結5速ミッションですが、ポルシェシンクロのシンクロスリーブが割れて、ミッション破損・ミッションケースも穴が開いたというものです。何とかしなければなりません。
レーシング仕様テストカー責任者様とご相談をして
・ミッションフロントベルハウジングケースは適合する代替パーツを探し出す。
・ミッションはクロスギヤとしてワーナーシンクロ化したい
・プロペラシャフトはスプライン差し込みタイプに変更する
という方針で決まりました。
今回使用するこの71Cのセンタープレートは少し特殊でプレート下側のオイル通路にワンウェイフラップが設定されています。これはかつてスカイラインGTRでフル加速中にミッションオイルがすべてリヤエクステ側に偏ってしまいフロントギヤ側が潤滑不足になることの対策として設定されたもののようですが、めったに出てこない希少品となりますが、虎の子の在庫品の中から選び出してきました。
用意した主要パーツ
上から
メインシャフト
メインインプットギヤセット
クロスギヤセット
5速0.83ギヤ比ギヤセット
となります。
メインシャフト
新品在庫となります
フロント側のギヤ組パーツ
2速を組みつけ
2速は大径ダブルシンクロです
1速用のメインシャフトに入れ込むカラーも新品にしました。ここにメインシャフトニードルベアリングが転動しています。
1速を組みました。
クロスギヤですのでこの1速のギヤ比は2.4となり、今までの直結5速の2.9よりもハイギヤードとなります。
シンクロはワーナーシンクロの大径シングルとなります。
クロスギヤのカウンターギヤとセットします。
2速まで組みました。
3速クロスギヤ
ワーナー大径ダブルシンクロです。
3速ギヤとハブスリーブまで組みました。
4速はメインインプット新品ギヤセット在庫となります。
ここからがΩバージョンという所以のところのスペシャル化となります。これが純正のメインインプット
ワーナー大径シングルシンクロとなります。
これをワーナー大径ダブルシンクロに改造しています。なぜなら、高速高回転化した現在のエンジンでは5速から4速へのシフトチェンジも高回転で行われるようになっているからです。ほとんどの走行で5-4-3速を主体のシフトチェンジとなっていると思います。
フロント側のギヤ組
ほぼ90%が新品部品で組まれています。
リヤ側のパーツ組付け
タイプとしてはバックにもシンクロが付くバックシンクロタイプとなります。
画像ではバックメインギヤ・ハブ・スリーブまで組んでいます。
5速ギヤは0.83ギヤ比のオーバードライブとなります。今までは直結5速でしたので5速はもちろん直結の1.0ですので最高速アタック時にはデフのギヤ比の選定しなおしが必要になるかもしれません。現在の240ZGレーシングカーのデフギヤ比がいくつかが不明ですので、ここは責任者様とご相談をしなければなりません。もし今が3.3のデフギヤ比だとすると3.9に変更する必要が出るかもしれませんが、そこは実際の走行状態がわからないと決めれません。
71C系の純正ギヤ比では5速は0.75である場合が多いですがサーキットではこのギヤ比はハイギヤードすぎます。0.75は主として高速道路を低回転でクルージングすることが目的のギヤ比ですので、スポーツ走行やサーキット走行では私は0.83ギヤ比に変更しています。これで富士スピードウェイメインストレートで5速フルスロットルでレッドゾーン7500rpmで230km/h出るはずです。
5速ギヤまで組みました。
M38メインシャフトナットは私の考え出した技「サイドロックボルト」で緩みを完全に撲滅します。画像ではナットのスカートがまだカシメていないですが、ここもカシメて併用しています。
ギヤ組が完了したのでギヤ精度確認です。
ギヤ精度
1ST 2ND 3RD 5TH
エンドプレイ
0.28 0.15 0.18 ーーー 0.17
バックラッシュ
0.14 0.18 0.12 ーーー 0.12
素晴らしい値です。ほとんど90%が新品部品ですから当然こうなるはずなんですがね。
シフトフォークの組付けに入ります。
4-5速のシフトロッドとシフトフォークは新品を使います。
シフトフォークを組みました。
外観的には71cそのもので、71Bとはまったく異なります。大まかには鋳鋼製での製作から、シフトフォークの断面のサイズを大きくしてアルミ製とすることで剛性の確保と軽量化を行っていると思います。構造解析CADで計算してこちらの方向性のほうに軍配が上がったのでしょう。
リヤエクステンションの分解
もともとついていた直結5速のリヤエクステンションから特殊なサイズのストライキングロッドは移植する必要がありますのでまずこれを分解します。
このミッションの分解でもっとも難しいのがこのストライキングレバーの分解でこれを外さないとストライキングロッドのところにあるオーリングが交換できませんし、もちろんストライキングロッドの交換もできません。
分解しました。
上が240ZGレーシング仕様テスト車についていたもので、下側は普通の71Bストライキングです。
これだけ長さが異なります。
もう一つ異なるところがありまして、このシフトレバーに左右方向のメリハリを与えるプランジャーの受け溝ですが、テスト車は2-3速(通常の3-4速)部分のみプランジャー溝があり、シフトレバーの中立を保つようになっています。1-Bと4-5への振りにはクリック感が出るようになっています。
こちらが71Bの通常のプランジャー溝です。
5-B側しかクリック感がでない仕様になっていて、これがほぼ100%そうなっています。
ストライキングブロックの奥にはストライキングロッドをオイルシールするオーリングが打ち込まれています。ここを交換してゆきます。これが交換できないとシフトブロックの当たりがオイルまみれになります。
全バラしました。この後組み立ててゆきます。
今回使用するリヤエクステです。
コンパチCΩバージョンとしてゆきますので、プロペラシャフトはスプライン差し込み式にする必要がありますので、このタイプに変更が必要です。(外観はこの形でなくてもスプライン差し込みタイプ適合のリヤエクステはありますがね)
さて、問題のフロントベルハウジングですが、おそらくLYエンジンに適合できるとふんでいる子のフロントベルを探し出してきました。
こちら側から見ると左下の部分がかなり形が異なっており、代替品のほうが余肉が付いた形状です。ここはセット時タコ足が近づいてくるところなので少し心配なところではあります。ただテスト車のLYエンジンに使っているタコ足形状がわからないので今のところ判断できません。また、タコ足をエンジンにつけたままでミッションを載せようとするとタコ足とマフラーの接合フランジがこの部分に干渉して取り付けできないという場合もありますが、私は今までそのような場合の回避策を編み出していますので、その方法で何とか切り抜けてきた経験が何度か有ります。
新たなケースに組んだ71BコンパチC Ωバージョンです。ミッションケースは仕上げ加工をしているのでピッカピカです。
非常に特殊なシフトレバーの後退仕様はそのまま復元していますので、シフトブロックがミッション後端とすれすれのところにあります。
ミッションメンバー受けは今までと同じところにあります。
リヤエクステの側面にある小判型の蓋はバックチェック機構で、5速からストレートにバックギヤにシフトできないようにしているチェック機構です。5速からそのままバックに入れる場合はレバーを一度横に振ってからバックに入れます。
反対側の画像
スピードメーター取り出しピニオンもバックスイッチも不要という事ですべてめくら蓋にしています。ただ内部にはそれぞれパーツは残していますので、取り付けも可能ではあります。
上から見たところ
フロントベルハウの内部です。
エアーブリーザーは黒いホースでフロントベルハウジングとともにエンジン固定ボルトで固定するようになります。この先端の?形状のパイプがエア抜きとなります。
ストライキングブロック周りです。
この後回転試験を実施して問題なければ完成となります。
この後、プロペラシャフトについて今までの直結5速のフランジ結合ペラから今回71bコンパチcにしたことからスプライン差し込みペラとなるのでこのプロペラシャフトを準備してフルオーバーホールしてお渡ししました。下側のミッションメンバーはブッシュがよれよれとなったので交換してとのご要望でこちらもブッシュ交換してお渡しです。