2015年12月10日
以前コンパチCを採用してくれた静岡県内の方から、新たに
71BコンパチC Ω6 を依頼されました。
若い方ですが、旧車が好きでゆくゆくはプロになる夢に邁進しているのですが、このような方が現れてくれるとうれしいです。
画像はパーツ準備の一こまですが、メインシャフトは温存していた新品を使います。
そしてこの71C用スリーブですがWPC処理を指定されたので実施した物です。
○メアリさんでもカタログ上は71B用しかないので、スペシャルな仕様となります。
後からの話ですが、効果はすごく有ると思います。シフトの感触がソフトになったように感じます。
いつものように1-2速の部品達。
スリーブは上記WPCスリーブ
センタープレートに組みました。
3速の部品達ですが、これも特別に温存していた3速は純正新品を使います。
スリーブはやはりWPC品
そしてΩシリーズの肝ですが右がWシンクロメインインプットで、だいぶ形状が異なることが分かります。
シンクロはもちろん通常の左側のシングルから右側のダブルになります。
71C系の純正仕様の中に存在しない仕様ですので、作らなければならないのですがかなり慎重に、そしてしっかりとした機械と治具を準備しないと出来ませんでした。
この仕様ですでに私のS31に取り付けて富士スピードウェイで200Km/Hまで何回もトライし問題ありませんし、チェンジはすごくすばやく出来ます。
フロント側1-4速まで組みあがりました。
私の作るコンパチCには画像下側のカウンタ4速(一次)のフロント側についているシザースギヤをそのまま残して組み付けます。
これはアイドリング時のギヤのチャタリング音(ガコガコ音)を軽減する為の追加仕様ですので そのまま残します。
これはコンパチC化(フロントを71Bケースにする)場合、ケースと干渉するため何らかの対策をしないとギヤがケースを削ってしまいます。
そして5速
リヤ側を組み付けて行きますが、これはバックにシンクロが付いている仕様で、71C系の最終バージョンだった仕様です。
5速の後ろのメインシャフトを締めこむM38の大きなナットは71系の最後までの泣き所で緩んでしまうという現象が防げなかったところですが、私は今はナットのサイドにロックネジを追加する技を編み出したので(先端には有る工夫が必要)完璧を期して追加しています。
ギヤ部は組み付け完了
WPCスリーブがかっこ良く光っています
ここでギヤ精度を測りますが、この値が正常で有ればほぼギヤ類と組み立てに問題ないことが確認出来るので安心できます。
1ST 2ND 3RD 4TH 5TH
エンドプレイ 0.33 0.16 0.16 --- 0.18
バックラッシュ 0.07 0.07 0.08 --- 0.14
良好な値です。
シフトリンケージの組み立て
シフトフォークは71Bと比べたら桁違いの強度と思います。アルミ製(スライドメタル入り)なので重量も変わりません。
完成しました。
ケースはグレーに見えますが塗装か表面処理がされているようです。
色合い的にボンデ塗料のように見えます。
力強いイメージで良さそうなのでこのままにしました。
塗装する場合下処理をよっぽど手をかけないとすぐに汚く剥がれてきますのでアルミの自然の状態でもいいなといつも思います。
簡易試験機
e-zanaraizarで500rpm1時間回しっぱなしにして、オイル漏れ・振動・チェンジ感などをチェックして問題なし。昇温は13度となりましたがバックシンクロでは良好です。スピードメーター・バックスイッチもチェック
最初のところでも述べましたがスリーブWPC処理追加はシフトが滑らかになった感じがしますし、音・振動ともにかなり少ないレベルの個体に仕上がったと思います。