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2022年9月20日

71B直結クロス β28ーS2

日産の直結クロス、純スポーツパーツでしかもメーカー純正 今では非常に希少なミッションといえると思います。特徴はその名の通り5速が直結=通常の5速ミッションでいえば4速と同じ状態になることです。その目的は最高速を出すギヤが直結になることによりカウンターギヤ経由でパワーをかけるより機械損失=ギヤの摩擦などが減らせることです。高速で風圧を受けながらエンジン回転がMAXに近づいているとき、つまり日産車でいえば200km/hオーバーの領域で後どこまで最高速スピードを伸ばせるか、富士スピードウェイでいえばメインストレートの競り合いで横の車よりいかに大きく鼻先を前に出せるかというようなときに、この差は大きく表れると思います。 対して通常の5速ミッションは4速の直結の上にもう1速付け加えたものなので5速はカウンターギヤ経由で動かしていますので同じ5速でも前述の直結5速とは異なります。別名オーバートップといわれる本来はエマージェンシー的な意味合いのギヤ構成だったと思います。

 直結5速の場合は5速ギヤ比は1.0で固定ですので、後はデフのギヤ比で最高速を調整することになりますので、レースでは筑波と富士ではデフを変えることが必要になると思いますがそれがレーシングミッションなのです。

ギヤ構成としては通常の5速とは大きくこの部分が異なっていて、センタープレートのすぐ後ろにあるのが1速となり、その後ろにバックがあるという構成です。そしてここのシンクロスリーブを金色のシフトフォークで前後に動かしているのですが、シフトロッドは一番上のロッドに接続されているのでシフトパターンとしては1速が左手前のいわゆるローバックとなります。

フロント側は通常のミッションと似ていますが、4-5速のシフトフォークを形状変更して一番下のシフトロッドで動かすようになっていますがそれ以外の構成は通常の5速と同じなのでこの辺りは互換性を残しながらうまく設計変更していると思います。シンクロとしては全部ポルシェシンクロとなっています。

       1ST  2ND 3RD 4TH 5TH

メインギヤ  32 28 24 22 22

カウンタギヤ 16 20 23 26 31

ギヤ比   2.828 1.973 1.470 1.192 1.000 

 

このクロスっぷりはほかのギヤ組では見たことが無いです。ショップさん製造のクロスよりさらにクロスです。

分解に入っています。

1速です。

シンクロリングはまあまあ

メインインプット=5速

シンクロは少し地肌が出てきている感じ

4-5速シンクロスリーブ

問題無いようです。

3速

シンクロにかなり激しい横スジが入っています。

2速

シンクロに全周にわたり筋が入っていてこれはダメレベルです。

2-3速ハブスリーブ

見たところなんともないようですが・・・・

やはり画像中央部の1山かけています。

ポルシェで頻発する不具合ですが、これでシフトできないかと言うとシフトはできますが、その状況で確実にシンクロリングを削っていきます。

組付けに入ります。

ベアリングはセミシールドの新品に交換

2-3速の今までのポルシェシンクロ

一番損傷がひどかったところのパーツです。

シンクロスリーブには刃欠けまで発生していました。

こちらがワーナーへ改造後のパーツです。

日産直結5速がワーナー化した事になります。

ただし、今回の改造内容では2-3速に限ります。

ハブスリーブともに全く異なる状態であることがわかると思います。


シンクロボークリング・ニードルベアリング等は新品に交換してゆきます。

2-3速について組み込みました。

4速の組付け準備

ポルシェで組みますが、シンクロリングは新品に交換、またブレーキバンド=三日月状のパーツも新品交換します。

左側のギヤ画像でポルシェシンクロリテーナープレートを外したので内部の構造がよくわかります。

左が新品のポルシェシンクロリング、私はかなりの数量を在庫しています。特殊な摩擦金属材が溶射されていますがキレイナ色で表面が均一です。対して右側の今までついていたシンクロリングは色が黒く、表面も溶岩が流れた後のように凸凹クレーターまでありあまりきれいではなく、これは使用したからでなく初めからこの状態です。私が観察してきた中でこのポルシェシンクロには大まかにはこの2種類が存在しているようです。口が開いているところの幅が左のシンクロはわずかに広い=張りが強くなっていると思います。

フロント側を組みました。左側の2-3速はワーナーシンクロ、右の4-5速はポルシェシンクロという変則的な組み方となります。

 

リヤ側を組んでいます。

いわゆるローバックの部分です。

精度測定

 1ST  2ND  3RD  4TH

エンドプレイ

0.35 0.35 0.14 0.10 ー--

バックラッシュ

0.08 0.13 0.22 0.16 ー--

 

1STと2NDのエンドプレイが少し大きめですが問題ないと思います。ほかの値は安定した値となっています。

シフトフォークを組みました。真ん中の2-3速フォークはアルミ製のスライドメタル入り3点支持フォークとなります。

 右側4-5速フォークは特殊形状であるためワーナー化への改造を阻んでいます。このシフトフォークを何とかすれば4-5速のワーナー化は実現できます。今後さらにチャレンジしたいと思います。左側の1速ーバックのシフトフォークも特殊ですがここはこのままでも問題ないでしょう。

メインシャフトの回り止めはやはりサイドロックボルト式に改造していきます。

このシフトキーボックスの形状がいろいろノウハウがありそうでマニアックです。

リヤエクステンションをいつもの通りオーバーホール。この部分については直結5速も普通の5速も変わりません。分解して内部の2か所(3か所の場合もあり)のオーリングを交換してゆきます。

フロントケースのセルモーター取り付けねじはヘリサートで修理されているのは良いのですが片方がヘリサートのねじ込み不足が見られます。このままでも問題なくねじ締めできていたのだと思いますが少し注意が必要です。

回転試験機でチェックしています。

回転は問題なし。

シフトは2-3速がワーナーのカチャッというわかりやすいシフトに対して、4-5速のポルシェは少し重くぬるりとしたシフト感触です。

フロントベルハウジング内もこのとおり問題なし。

完成です。