2012年に販売完了しています。現在はありません。
これは80年代のサニーなどに使われていたA型エンジン用5速マニュアルミッションです。通常の1速のシフト位置がバックとなる、いわゆるローバックです。型式は63Aですので最終版だと思います。ローバックの良いところはご存じのとおりスポーツ走行で使用頻度の多い2~5速をH型パターンのなかでシフトできることです。特に2ー3はストレートになりますから、ここはシフトタイムはずいぶん違うと思います。
この個体の履歴は30年ほど前に私が乗っていた310サニーに載せたくて、知り合いの解体屋に程度の良い出物を頼んでいたら出てきたもので、確か210用とのことでした。そのあと私は310を手放したので、以降30年間ずっと車庫の隅で眠っていました。したがって走行距離はそれなりですし、使用履歴も限られると思います。
手で回してみたりシフトチェンジしてみる限り問題はなさそうですが、30年間も経っているので一応中身を確認してみます。
オイルのにじみ汚れが有りますが、後から洗浄します。
シフトレバーとノブ・ゴムのカバー付きですが、ノブは社外品の様でジャガーとかいてある木製です。
クラッチフォークとベアリングが付いています。
本体周囲に付く付属品を取り外します
ミッションレバーのプラスチックのブッシュは完全に劣化しています。
フロントベルハウジングを外しました。内部の程度はかなり良いと判断します。変なスラッジやカーボンの様な汚れ、錆などは見られません。ギヤの欠けは見当たりません。ベアリングもきれいです。
ここで、ギヤバックラッシュとシンクロ摩耗・ギヤ歯数確認・ギヤスラスト隙間を測定します。
ベルハウジングから外してギヤのバックラッシュを測定しますが、カウンターはスラストニードルベアリングのため、この状態では正確なクリアランスはつかみにくいですが、何とか測ります。
1st 0.07mm
2nd 0.08mm
3rd 0.12mm
4th 0.09mm(参考値:ここはassyしないと正確ではない)
次にシンクロの摩耗値 (基準 1.8mm 限度 0.8mm)
1st 1.47mm
2nd 1.71mm
3rd 1.59mm
4th 1.60mm
で問題なしです。使用頻度が少なかったか、丁寧な扱いだったようです。
歯数を数え減速比を割り出します。
1ST 3.382
2ND 2.013
3RD 1.312
4TH 1.000
5TH 0.854
71系などの様なローバックでは無いものとの違いは、ギヤ位置として、通常5速の位置つまりセンタープレート後ろに1STが有ります。また1-2速位置に 2-3速 3速の位置に5速となっています。そしてシフトリンケージの途中に動きを逆転する変換パーツが追加されているようです。
マグネットを付けようとして気が付いたのですが、このセンタープレートはアルミです。 71系後期は鉄なので軽量化でしょうか? (71系でもアルミのアダプターが存在するようです)
またフロントプレートはガスケット無でフルードガスケットでべた付けされています。クリアランス管理がシビアの様です。
またカウンターシャフトの前後ベアリングは高級テーパローラーベアリングが使われています。でもこれが本来の姿ですね。71系の様にすべてボールベアリングではスラストが受けれません。本当はすべてテーパーローラーが正解かも。
リヤエクステンションはフロントから類推すると問題は無いと判断して余計な分解はしないことにします。
以上、使用上の問題は無いと判断して再度ベルハウジングと付属物の取りつけに入ります。
ベルハウジングとアダプター間のシールカスを清掃してシンナーで脱脂して、フルードガスケットべんがら色でシールして組みつけました。スイッチ類も取り付けました。油汚れも清掃しています。完成です。
付属品です。
配線ケーブル
シフトレバー・ゴムカバー
クラッチフォーク・クラッチベアリング(回転に問題なし)
リヤマウント固定ねじ
画像に無いですが、おまけでリヤマウントブッシュとメンバー(穴変形してます)