ME-4 L型魔界エンジン
L型魔界エンジン、ME、フルチューン、L6、L型、77度カム、鍛造ピストン、軽量コンロッド、圧縮比、ビッグバルブ、アルゴン盛り、ツインアイドラー、ポート加工、
その1 素材エンジン
その2 ヘッド加工 その1
その3 シリンダーブロック加工
その4 パーツ類リフィール
その5 エンジン組み立て
その6 補器類
2021年10月10日
魔界エンジン MEー4製作開始
2018年に作った自分用の魔界エンジン1号機( 詳細はこちら)と同じ仕様でエンジンを製作したいという方から依頼されてエンジンの製作に入ります。
まずは素材エンジンの入手ですが、このところめっきりL型エンジンの数が出回らなくなり、価格も上がり気味となっていますので、入手も簡単ではありませんでした。外観はかなり錆が出ていますがこれでも程度は良い方です。
ヘッドはN42に換えられていますが、ヘッドそのものは無改造と思われます。メンケンもされてはいません。
腰下は上の画像で分かる通りF54です。最近はN42のお宝腰下というものはめったに出てこないし、出たとしてもとんでもない価格です。
あちこちサビサビですが私の魔界エンジン1号機も素材の時はそんなもんでした。これをだんだんと手を入れて行く都度にきれいにしてゆきます。
ポートもノーマルのままの鋳肌が出ています。バルブ回りはカーボンも少なくきれいな状態です。
リヤ側、こちらもやはり錆は有りますが全体にしっかりした感じを受けます。
ヘッド内部です。
スラッジが少なくきれいな状態です。
バルブ類をすべて取り外してヘッドの加工に備えます。
クランク側の分解です
クランク室はかなりきれいな方と言っていいと思います。私の1号機はクランク室の内部はカーボンと樹脂成分が混合して固まってワニスのようになって内壁にびっしりと堆積していましたが、このクランク室にはそれが見られません。
クランクキャップを外し、ピストンを抜き取り、クランクを外します。
クランクです。
こちら側から見るとL型エンジンのクランクが完全バランスではないことが分かりやすいです。各気筒でバランスウェイトの形状が差があることが分かりますが、大まかには2番、4番のクランクにはウェイトが無く両サイドからウェイトを間接的に借りている状態になっていますので、そこの間にはクランクがねじられる現象が起こっているはずです。このクランクが稼働しているときはほんの僅かかもしれないですがクランクが波打つような動きが起こっているはずで、高回転になるほどそれが顕著になったはずです。その結果クランクメタルがこじられるような現象となって現れます。これを少しでも改善したいと私が考えて製作したものが 「イーザ方式クランクラダー」こちら です。
取り外したL28純正クランク。まだきれいな状態でクランク軸に目立った傷摩耗は見られません。
クランク親メタルですがかなり異常な状態です。
拡大するとこのようになっておりメタルの面に何かがたくさんめり込んでいます。何かはわかりませんがオイルなどの管理状態が悪かったのかもしれません。メタルは非常に柔らかい金属でできており異物が噛みこんだ場合はこのように自分の中に異物を取り込んでしまい、クランク軸に傷をつけない様になっていますが、ここまでひどいとちょっとまずいです。でもエンジンが回るには回っていたと思うのでこのようになっていることは感知できないかもしれないですが、これでは高回転では回転が重くなっていたことでしょう。
クランクキャップ側も同じような感じです。全体的にメタルのひかり面が多くいわゆるメタル層が無くなりかけている状態と思います。正規のメタルの表面は鈍い銀色という感じのはずです。
ピストン側も観てみます。
コンロッド側の子メタルにも同じような傾向が見られます。
特に画像のように間に2本の線状の模様が残っているのが特徴的です。
全体的にいえばこのエンジンはオイル管理が悪かったことが原因でメタル類全体に摩耗損傷が起こってしまったということでしょう。
これからメタル類はもちろんのことクランクからコンロッドピストンまですべて交換してしまうので現状はあまり関係ないんですが、エンジンの経年変化を知ることはエンジンを作る上でも、使用する上でも大切なことだと思いますのであえてここで観察してみています。そしてこれからチューニングしていく上で少しでもこれらのことが起こりにくいように気をかけて作業してゆきます。