フェレディー、S30Z、時計、3針SW時計、オーバーホール、修理、販売
2012年12月6日
Zの時計は電気時計 その1
現代の自動車用時計 とりわけ大衆車の自動車の時計は100%デジタルとなっていると思います。そりゃーもう10年前はデジタル時計なんて未来の話で、そんなもんを自動車なんてガサツな所へ付けるなんて思いもよらない事でした。が、今ではそんな状況です。
で、画像はZのストップウォッチ付き3針時計ですが、私が初めてこれを見たときはもうびっくりしました。腕時計でさえストップウォッチ機能があるのはクロノグラフだけという状況でしたのに、Zにはそれが付いているんです。
手前に2本あるノブの内左がそのストップウォッチ機能で押し込んでスタート、再度押し込んでストップです。
でもこんな機能もデジタルなら1cm角の基盤の中にすべて入りますね。
そしてこの時計をなんて呼ぶんでしょうかというと、私が好きなゼンマイ時計では無いですが、内部の機構はほとんど機械式なので機械時計といいたいところですが、肝心な時間計測は電気の振動子でやっています。水晶の振動を拾って計時するクォーツ時計でもないです。
ですから、電気時計と呼ばせてもらいます。 電波時計じゃないですよ!
Zの時計は何種類もあります。画像は同じように見えますが全部違います。これ以外に2針式があります。一番左は中期の3針式で、ノブ2本は脱落してしまった為作ったものです。中央は前期の3針式、そして右は後期3針式でストップウォッチ機能が無い代わりにカレンダーが付いてます。これも、凝ってますね。
特に左の2つは分かりにくいので比較すると、よく見ると前 後ろともにだいぶデザインが違います。
直径だけは同じです。
外味について互換性は有りません。
実はこの3台ともに35年間の時を刻むうちに、作動不能となった物です。一回もオーバーホールなどしないんですし、エンジンみたいにオイル交換もしないので仕方ないですね。
修理できないか探ってみます。先ず左側 中期3針SW付き を分解してみます。
下の画像 2枚目で右上に丸いマブチモーターの様な物が見えますが、別体となっている発振器でこのモーターに定常回転力を与えて、歯車を回しています。モーターはパルスモーターなのでしょうか?
3枚目の画像でドライバーで差しているところの黒っぽい小ギヤがずるむけていて、空回りしています。モーター自体に不具合はなく、また他のギヤも問題ないようです。しかし、このづるむけたギヤは日産ディーラーに注文しに行って手に入るでしょうか・・・・?
このギヤが無ければ、お手上げです。
右下の画像は分かりにくいですが、ノブの操作で秒針を0戻しする機構や、時間合わせ・内側のダイアルを回す機構です。全部がメカで成り立っています。
2013年3月16日
上の画像でストップウォッチ付き3針時計が破損している状態ですが、この時計は画像で示しているモーターに付いている駆動ギヤが破損する場合が多いようです。
この手の時計の故障で困っている方、ご連絡くだされば対応できると思います。
そして、一番右の後期3針カレンダー付きですが、動きません。これはテンプの様なものが付いています。クオーツなのでしょうか。モーターらしきものは無く、大きな金色のコイルと円盤は磁石になっているのでしょうか、全体的にはカバーのないモーターの様相です。これには発振器はなく時計の中に基盤と少しの電子部品がマウントされています。
2014年10月13日 今日は時計屋さん
上の記事と同じ3針式カレンダー付時計の修理を頼まれました。
この時計には髭ゼンマイの形をしたテンプが付いています。
手前にあるコマの様な部品がそれです。
このテンプには磁石が付いておりそれを本体側にある電磁石に弱い磁界を掛けて反発させることで時を刻む駆動力を得ています。時間の計測は髭ゼンマイの弾性反発力に寄っています。添付の軸受け近くにワンウェイ機構が付いており反復作動するテンプの動きをギヤの回転力=秒針の駆動に変換しています。
上の左下の写真で、カバーで隠れてしまうところにシチズンのロゴがあります。
こうやって見ていくとこの時計だけでもいろんな変遷を経ているのだなと考えさせられます。
・1)一般的な機械式時計は最初はゼンマイが駆動力だった。時間計時はテンプが往復運動することで一定の時間を得る。
・2)ゼンマイ蒔くのが面倒なのでそれをモーターに変更した。時間計時はテンプ
・3)モーターで何か不具合があったのかコストの問題か、今回の様な磁石反発式になった。時間計時はテンプ
・4)3針ストップウオッチ付の様なオシレーター+サーボモーターとなった。時間計時は圧電素子の振動数でテンプは無い。
・5)最終的にはいわゆるクォーツ時計となった。時間計時は水晶の固有振動数
IC回路が発達したので振動数を直接カウントして表示できるようになった。いわゆるデジタル
40年経った今考えてみると、1)のゼンマイ式が最も故障が少なく単純でよろしかったのではと思います。電気と機械の複合だと両方の故障を心配しなければなりません。(実際は自動車用時計でゼンマイ巻きのは見たことないので、有ったらいいなの願望ですが・・)
今回の電磁石式もその様子は美しいです。細く繊細なテンプが金色の電磁石の間を往復運動して、髭ゼンマイが心臓の様に小さくなったり大きくなったりする様は、無駄がない機能に裏打ちされたデザインともいうべきものが感じられます。ICチップ一つではこのような楽しみは無いですね、
今回の故障はこのテンプの軸の端についているワンウェイ機構がうまく機能できておらず、カクカクと同じところを行ったり来たりしている状態でしたので、そこを調整して上手く動くようにしました。とさらりと書きましたが、ここはすごく微妙でドライバーに力を入れたか入れないかの感覚で変化するほどの調整部分が装置されていますので何回もやり直して稼働を繰り返して調子を見ます。各歯車もできるだけ掃除して、細かい砂の様な侵入物を取り除き、最後に各歯車の軸受に専用オイルを少しだけ給油します。
それから、できるだけ長い時間を駆動させ、時計の遅れ進みを調整します。この時計にはカレンダーが付いていますので本来なら30日間の動きを確認しなければなりませんが、そこまでは見きれないので、最低24時間でカレンダーが1日切り替わるかを確認します。本職ではないのでご勘弁です。
この3針式カレンダー時計ですが、文字盤が2種類あるようです。12時間表示の線が蛍光塗料白色のものとクロームのメッキ調のものとあるようですが、年式やグレードでどのようになっているのかは良く分かりません。
以上で完成と思って稼働試験していたのですが、問題が出てしまいました。
朝8時に時間合わせして時々遅れ進みをチェックしますが、夕方8時でほとんど遅れ進みも出ず、当然止まりもしないで動き続けています。ところが次の日の朝見ると止まっている時があるのです。通常の時に全く奇麗に動いているので、変ですししかも止まるのは夜だけです。ここから考えると日付変更線が最も怪しいようです。
で、カレンダー機能部をチェックです。
この時計のテンプは1往復である回転数 秒針ギヤを送るのが基本でそれが秒針で、そこから1/60にリダクションすると分針になり、さらに1/60したのが時針です。テンプはこれらのギヤや針を回すので繊細な割には重労働です。カレンダーの場合は時針から1/24リダクションしてやれば良いのですが、その時にこの鉄の塊のようなカレンダー板とごついギヤを回さなければなりません。これは分針や時針よりずっと重労働ですね。
今回の問題はこの重労働に耐えかねるということが原因と思われます。
もともと元気なうちはできていたんでしょうが30年も経つとあちこちがたが来て無理できない状態です。
で、ちょっと労働力を軽減してやります。これでいけるはずです。
このように電源繋ぎぱなしにして遅れ進み調整。
テンプを分解したので、時間の遅れ進みの調整にてこずりました。
なんとか調整して日差で1分以内となりました。
秒差までは無理です。
これで完成とします。
そして最後に前期3針SW付 ですが、時計本体は問題ないのですが発振器が壊れています。これは壊れていないものと交互につないでみれば判明します。
これを何とかなおしたいのです。
右側が発振器で助手席の足元上側エンジンルームとの隔壁の室内側にある8cm角ぐらいの箱です。
修理するに当たり、壊れていない物と2つ準備して、お手本を用意します。
つまり直したい発振器と正常な発振器
および正常な時計機械部の3つが必要です。
そして、この壊れている発振器のカバーの爪を起こして恐る恐る外して内部を確認してみます。内部を見たとたん私には手に負えないことがすぐに分かりました。抵抗やコンデンサーぐらいならテスターで当たれますが、トランジスターはあるわ部品がぎっしり詰まっているわ、半田基盤はひどく懐かしい匂いのするうっとりとした状態です。すぐに蓋をして見なかったことにします。ヘタに探求欲をだして壊したらもう永久に手に入らないかもしれません。
この発振器を直してくれそうなところを片っ端から当たります。
まずは知り合いの電気屋さんーーーそういうお店はもうないんじゃないの
市内の大手家電量販店ーーーーーー聞く前に、聞くのをやめました
市内の大手電子部品販売店ーーーうちは修理はやってません
ウエブ上の修理屋さんーーーー業務用を手掛けるところが数件・聞いても取りつくしまなし
諦めかけたところで、ある自動車用時計を修理する記事が何気なくマウスに吸いついてきたのです。
諦めないことですね。
とうとう電子部品修理の修理のプロを探し当てました。
早速時計を送って直してもらいます。
プロが見ればこれが音又を利用した低周波発振器で、この出力がインダクションモーターを回していることが分かるようです。上側にあるU字形をしたものが発振器の本体ですね。ここには圧電素子が貼ってあるらしいです。これの右側に見える小さい突起が、時間の遅れ進みを調整するネジですね。
あと私がわかる範囲では大体でトランジスタ(とんでもなく大きい)が7個、コンデンサーが8個・あとレジスターが20個ぐらい見えます。修理としてはこれらを片っ端からテスター当ててチェックするらしいです。根気のいる作業ですね。
そしてここが一番尊敬するところが、発振器の出力をオシロスコープで確認するところです。わたしなら不具合が見つかればそこの部品と同じ物を探して交換して終わりにしてしまいますが、プロはここまで見るんですね。
無事不良となているパーツを探し当てて、交換し
修理は完了しました。
おっと、ここまでで時計の修理が終わっただけで私にはまだ、これをZのコンソールに取りつける作業が残っていたっけ。あれ、グローブボックス分解したり、埃だらけのコンソールの裏側覗いたり、面倒なんだよなー。
2013年12月12日
ホームページを見て下さっていた新潟のyさんから、s30z48年式前期のフェアレディーの
ストップウォッチ付き3針時計の修理を依頼されました。
オシレーターとセットで送られてきましたが、非常にきれいな外観です。ほとんど新品のようです。
時計がこんななら、車体はどんなでしょう?
室内はほとんど外気にさらされたことが無いような雰囲気です。
どっかの蔵の中にずっとしまってあった?
時計は動きませんでしたが、分解してみるとモーターがかすかに動くことが確認できました。モーターとオシレーターは生きています。40年間良く生きていたものです。拍手です。
ただ、画像 ドライバーで示している部分の黒っぽい駆動ギヤの形が少し変です。
今まで見てきた時計もたいていがこの部分がやられていました。
ケースの方を見ると何やら削れた粉のようなものが残っています。
ギヤ部分のかみ合い部も良く見ると黒っぽい粉のよなモノが噛みこんでいることが見られます。
このようなものが抵抗になって、モーターが駆動しようとしても回すことが出来ない状態になってるようです。このまま通電し続けていると駆動ギヤが丸坊主になるか、モーターが焼ききれるかどちらかです。
この後の画像が有りませんが、モーターの軸受部の損傷が有った様でこれを直して正常に動くようになりました。これで何日か回しつずけて遅れ進みを調整して完成です。
無事に新潟の大雪に埋まったガレージの中でコツコツとZのレストアを続けている依頼主の元に届けました。
これは少し話がそれますが、同時に依頼されたパワーアンテナのスイッチです。
テスターで確認すると通電が不確実な状態になっています。
内部でやはり磨耗が起こっているとおもいます。
これも分解して修理です。どこを分解するんだって?
それでもちまちまやるんです。
とことん
だんだん
それで分解しました。
本間に ちんまいでんなー。
右下の金属片がヨーイングスイッチの要ですが表面には酸化皮膜が見られます。
また良く見えないですがペンチで挟んだスイッチの受け側接点も何やら皮膜で覆われています。
これらを根気よく磨いていきます。
この分解はハンダ付けの基礎がないともちろん出来ません。
私は中学で必須科目でハンダ付けの基礎を習いましたが、今の人達はやる機会があるのでしょうか?
またハンダ付けは我慢と根気の結晶ですが、何でもパソコンスイッチ一つで黒白が明確になることに慣れている、今の人達にハンダの機微が分かるでしょうか?ほんとに機微です。
言っていることが分かるでしょうか?
そもそも田んぼが半分で何? 半田? はんだ? ハンダ?
ほとんど意味不明?ですね
私はもっとも究極の場面で左手の人差し指と中指で配線一本をつまみ、左手の残った薬指と小指でもう一本の配線をつまみ、その剥き線同士をつき合わせて右手で親指と人差し指で半田ごてを保持して小指と薬指で半だチップを挟んでそれら4本を一転に焦点して半だ付けするという作業をした経験が有ります。どうしてもそれしかない場面だったのです、ちょっと自慢です。
で、復元しました。テスターをつないで何回もチェックします。
問題ないようです。
新しいスイッチに交換する方が早いと思うかもしれませんが、それらのスイッチにはほとんどメイドインチャイナ あるいはメイドインコレアなどのプリントがしてあります。
このスイッチはやはり日本製でした。メイドインジャパンとは書いてありません。だって当時は書くまでも無く日本で作らなければ高くなってしまい海外で作るなんて出来なかったのです。
2014年2月20日
東京の方から Zの3針時計の修理を依頼されました。
外観はとっても綺麗でほとんど新品の当時ものという感じです。
デッドストック?
オシレーターについてもこんなに綺麗なオシレーターは見たことがありません。
故障内容なんですが、動くことは動くが時刻表示が1時間に7分、1分間に7秒遅れるというものです。約12%遅れが出ている状態です。
後ろ側もきれいですが、この取り付けから前期タイプの時計であることが分かります。後期タイプの3針時計もありますが、取り付けが異なります。
オシレーターですがすごくきれいです。
金色のメッキが輝いていますが、再メッキかと思うほどの艶です。
内部でからから音がするので、オシレーターのカシメを外して調べて見たのですが内部から画像の様なネジが出てきました。
形から見て時間調整ねじで有る様ですので、もう一度ネジを取りつけ直してチェックしてみましたが12%の遅れ症状は変わりませんでした。
オシレーターが原因かと思い、手持ちの他のオシレーターをつないでチェックして行きます。時計を扱うようになって以来、時計に関してはどんな半端ものでも捨てないで取って有りますので、こんなときに便利です。
OK品のオシレーターでも症状は変わらなかったので時計部の故障に確定ですので機械部の修理に決定です。
時計機械部内部を調べていくのですが画像を取り忘れました。外観同様内部もきれいです。駆動モーター部のギヤはかなり丸まりが有りましたが、欠けは出ていません。でもここは交換したいところです。
他のギヤ類にも外観から見る限り大きな損傷は発見できませんでした。
おそらく駆動モーターそのものの損傷が有ると思われます。
完成です。やはり外観的には素晴らしいコンディションで新品の様に見えます。
結局駆動モーターには不具合は無く、私が内部のギヤ類の清掃と給油を実施して時間の極端な遅れは治りました。長い時間の間に錆や細かな埃の様なものが堆積したり、オイルが硬くなっていて抵抗になっていたのかもしれません。
この時計は本日依頼主に戻っていきますので、そのあとまたしばらくはS30Zのダッシュパネルで、S30とともに時を刻んでくれるものと思います。
2015年9月30日
Zの劣化の激しい時計の状態
これは酷い状態の時計の例です。
錆がひどく水が入ったのではと思われます。
通常は修復あきらめますが、勉強の為に分解してみます。
プレート基盤が積層されていて各ギヤを保持するようになっていますが、プレートは白い粉吹いて錆びています。
完全に分解しました。
それぞれのパーツを清掃してゆきます。
錆びは有りますが軸受部自体はまだ生きています。
この時計は秒針が無い一番単純な時計なので部品がこんな程度で済んでいます。
これは心臓部のパーツですが、画像左がテンプと言う部品です。いかにも機能部品と言う感じでデジタルには無い美しさがあります。
右は正式名称は覚えていませんが、左右に動いて秒を刻むテコ棒のようなものアンクルです。
面白い形しているし作りも繊細です。
これはたしかガンギ車
ワンウェイクラッチの様な働きで秒針を送っているものです。また、逆にモーターから受けた動力をテンプに返して反復運動する力を供給する部品でもあります。ギザギザとがったところの形状が動きの良さを左右すると思います。
組み立てていきます。
ガンギ車とテコ棒アンクルをセット
プレートをセットしてから、テンプを横から入れ込んで軸受ネジを締めこみ調整して固定します。この部分の締め加減も精度におおきく影響すると思われます。ベアリングと同じで締めこみすぎると摩耗し、ゆるいとすぐにガタが出ます。
文字盤側の歯車もセットしてゆきます。
軸受部には時計専用のオイル(すごく高いです)をほんの少し供給しますが、付け過ぎると他の不具合が出るようです。そのために左下の黄色い棒状の専用のオイラーを使い、量を加減します。ちなみにオイルは#3を使います。
すべて組み立てて12v接続しますが、動くには動くが10秒くらいで止まってしまいます。これは分解前の症状と同じですが、分解前はオイル切れでそうなるんだろうと判断したのですが違ったようです。
実は画像の様にモーターの永久磁石がひび割れしている事が原因でした。ひび割れなので力が落ちているだけで回転はしていたので気が付かず、モーターはOKとしていたのですがこういうのは難しいですね。
結局、この時計の修復はあきらめました。ビンテージクラフトにはこういうのが付きものですので仕方ないですね。でもこれらの部品たちは捨てないでとっておき、次の修復時のスペアパーツで使えるものは使います。
2015年11月4日
今日はまとめて時計を直します。
これらはみんなs30zのストップウォッチ付3針時計です。金属の四角い箱はオシレーターが入っていますが、これはいわゆる音又ですね。音又の振動数を拾って時計内部のインダクションモーターを定速で回します。
分解してゆきますが、その前にオシレーターが問題ないことを確認していますので時計側に不具合が有ることが確定できています。
オシレーターに問題が有る場合も有りますがその場合はコンデンサーだのトランジスターだのの電気的な修理になります。
ここがインダクションモーター部。
ここまではケースを開くだけですがそれでもちょっと油断すると壊してしまうことがあります。慣れない内は単純に滑って落とすということもありました。また、秒針もちょっと指を引っかけただけで折れることがあります。また、分解の時点から内部にほこりやごみを入れない養生が必要です。
そしてよーく見ないと見落としますがこのモーターの駆動ギヤがこのように亀裂が入っている場合が多いです。
この状態でも動いているケースも有りますが、亀裂が入るとギヤの変形が起こるので、たいてい時間がすごく遅れ変動するというような症状になります。一日に数十分も遅れるという場合はたいていこれです。
こちらも同じくS字状に亀裂が入っています。先ほどのとギヤの色が少し違うようです。
分解しました。
少し力を加えただけでギヤはこのように飴が割れるように粉々になってしまいました。
この後、部品を奇麗にしてスペシャルギヤで修復してゆきますが非常にデリケートで滑らかに動かすまでは何度もやり直し調整が必要です。
組み付け完成してテスト中ですが、2日間動かして遅れ進みは数分以内です。
okのようです。
貴重なストップウォッチ付3針時計の復活ですね。
2016年2月14日
フェアレディーストップウォッチ付き
3針時計の持病修理
おなじみのこの時計の修理を依頼されました。
不動とのことでしたのでオシレーターとセットで送ってもらいました。
テストしてみるとオシレーターは問題なく、時計機械部の故障でした。
開いてみるとやはり画像の三角状のピンセットの先で示したギヤが縦割れしています。しかもギヤ全体が粉を吹いたようになっていまして、プラスチックの風化をうかがわせる様相です。やはりプラスチックやゴムは40年が限界ということでしょうか。
ギヤの割れの反対側もやはり同じ感じでギヤ面もなにやら波打って変形している感じです。
今回は完全に不動になっていますが、時間が数十分も遅れるなどの場合もたいていギヤが変形して時々引っかかることで発生しています。
修理完了しました。
4日間動かしてその精度は±1分以内に入っています。秒についてまでまだ追及していないのですが、かなり良い精度だと思います。
この時計を修理するときにいつも苦労するのは、取り付けて最初に電源を入れたときに起動できるかどうか、いろいろ条件を変えても起動するか、が難しいところです。動き出してしまえばあまり問題なく動きます。
電源つないで動き出さないときはいったん電源を完全に切って10秒ほど待ってから再度つなぎます。それでもダメなときはストップウオッチのノブを何回か入り切りします。オシレーターの特性なのか動き出しに癖があるようです。
s30z・s31zの時計で困っている方、いらっしゃいましたら修理や、修理済み品の販売をしております。
販売のページのオーダーフォームから何なりとお申し付けください。