s30z・ハコスカ・日産旧車 プロペラシャフトのオーバーホール・十字ジョイント交換・長さ変更・スパイダー
プロペラシャフトのオーバーホール
ジャーナルジョイント
2017年8月3日
プロペラシャフトのオーバーホール
振動が激しいということでプロペラシャフトのオーバーホールを依頼されました。送られてきたのですがそもそも画像Aとaの位置が90度ずれて取り付けられています。このように組むと振動や音が発生します。でもこの時点ではもともとこのように取り付けられていたのかどうかわかりません。外してから仮にこのように組み付けたのかもしれません。
とにかく分解してゆきます。
しかしプロペラシャフトよりドライブシャフトの方が仕事としては過重ですので、プロペラシャフトに決定的なダメージが起こることは稀です。
分解したフロントの十字ジャーナルはこのような感じで消耗していますので動きがカクカクなることは普通に起こります。
しかしこのリヤ側のジョイントについてはすでに全くベアリングが存在しませんでした。粉々になったり飛び出したりしたのでしょう。
これで良く走れていたものですが症状的には振動がひどいということだけの様です。まだ反対側がこらえていたのでその程度で済んだのかもしれません。
この部分の十字ジョイントはこのようになっていてもう限界に近かったです。
分解後きれいにしてゆきます。
分解は何十年もメンテされていなかった場合かんたんには分解できません。各部に無理を掛けないように気を付け名がらプレスで何とか分解してゆきます。
十字ジョイントは今や貴重な純正新品の在庫品を使って補修します。
こんな感じで組んでいきます。
このときに重要なのはC形状をしたスナップリングの選択で日産純正は0.025ピッチで4種類が準備されていて測定値から選択使用するようになっていますので、組み付け時は正確は寸法測定が必要です。
復元しました。
この画像のようなスプライン差し込みの組み合わせを守ることが必要で、黄色のペイントで位置を明確にしておきました。
これで振動は出なくなると思います。
プロペラシャフトのオーバーホールの完成です。
プロペラシャフトに心配ある方は、一度オーバーホールしてみることを勧めます。
2019年9月10日
岡山のハコスカフルレストアのオーナーから駆動系刷新ということでデフ・ドラシャ・プロシャの3点セットでオーバーホールをお受けした中のプロペラシャフトです。このプロペラシャフトはハコスカの中でも貴重なスプライン差し込みタイプのペラシャフトで、中間にスプラインすべり勘合がないので回転振動が出にくいぺらシャフトとなるのではないかと思います。
分解してゆきます。
分解前のチェックで動きにクリック感が感じられたフロント側ジョイントはこのように分かりやすく軸に段付きのへこみが出来ています。
クリック感はなかったがジョイントの動きが軽すぎるリヤ側はこのように軸に焼けが見られました。
日産純正のジャーナルを使って再組立てし行きますが、クリアランスにより調整クリップの板厚を選択して組むやり方は共通です。
組み終わりました。
新たに組んだベアリングに下回り錆止めの黒スプレーがかかっていないのできれいで気持ちいいです。
完成です。
2020年7月27日
継続していろいろオーダーしてくださる方から今回はプロペラシャフトとドライブシャフトのオーバーホールを依頼されました。画像でたくさんプロペラシャフトが有りますがS30Zのプロペラシャフトに使えるものとしてだけでもかなり種類が有ります。
一番下が今回依頼されたノーマルの分解可能なプロペラシャフト。
真ん中は非分解式のプロペラシャフト・52年ごろからこちらのタイプに変化しているようです。
一番上はS30Zに使えるプロペラシャフト・ほんの僅か長いですがOKです。
少しへこみがありますがこの程度なら問題ないと思います。
全部いっぺんにやっています。
各パーツには識別記号付けて管理して組み戻すとき相手ペアがどれかまごつかない様にしています。
汚れや漏れたグリースをきれいにしてから塗装していきます。
プロペラシャフトはほぼ完成です。
プラボックスの中が選択制のクリップで0.025mmピッチの板厚が有ります。このクリップの打ち込み(取り外しも問題だけど)はコツが必要で、画像の中の銅ハンマー1本ではうまくいきませんので、いろいろな道具を駆使して行います。クリップ打ち込んで動きが緩かったり固かったりする場合は適度な渋さになるまでクリップを入れ替えて調整します。
こちらはドライブシャフト。
・こちらもゴムブーツの挿入(簡単には入りませんよ)
・ブーツバンドのしっかりした加締め組み付け(緩いとグリース漏れ・固いとゴムのはみだし千切れ)
・クリップの選択組み付け調整(自分はクリップを溝にあてた時の感触でおおよそ適否が読めるようになりました)
がスキルポイントとなります。
スキルとともにやはり専用の治具・工具。工夫が必要となります。
ドライブシャフトの組み付け完了。
R180・R192・R200に適合する両フランジドライブシャフトです。(スバルR180もOK)
2020年12月15日
プロぺラシャフトのオーバーホール
今回はまとめて2種類やってゆきます。
こちらはプロペラシャフトをオーバーホールするとともに長さ調整するというZ432のプロペラシャフト。
分解すると完全に中がさび付いてボロボロ(ヤフオクで買ったまま)
こちらはケンメリGC110の2分割プロペラシャフト
ジョイントが3個ありますがこちらもベアリングはグリースが真っ黒で交換時期でした。
こちらはそのまま十字ジョイント交換してのオーバーホールですので、純正ジャーナルを使ってシム選択で程度なクリアランスになるように組み戻してゆきます。ジョイントが自重でお辞儀するようではクリアランスが緩すぎとなります。
2023年5月21日
ハコスカGTRのフランジタイププロペラシャフト
のオーバーホール
71Aミッション・R192デフとともにプロペラシャフトのオーバーホールを依頼されました。
事前チェックで全箇所のベアリングにカックン現象が有りました。
分解してゆきます
分解してゆきます。
十字ジャーナルはかなり激しく焼き付き気味の変色をしています。通常そんなに激しく回転する部分でもないの何でだろう。
そしてジャーナルの端面は全数このような打こんの様なものが見られます。私としては初めて見る現象です。
キャップ側をニードルベアリングを抜き出した後、清掃するとキャップの底面にディンプルの様なものがあるのですが、その頭がかなり摩耗しています。形状的に十字ジャーナルについていた打こんはこのディンプルが当たった跡で間違いないです。
十字ジャーナルと接する面にはこんな模様がつけられています。しかも研磨面ならともかく荒い鍛造肌そのままですのでこれではある意味やすりと同じことですので、設計的に見たら暴挙としか言いようがないですが、どんなことだったんでしょう?日産さんと専門メーカーが考えてやっていることですから何らかの意図があるのだと思います。
こんな作りですのでジャーナル組むときのプリロードを適切にしておけばここまでの打こん発生は無かったかもしれませんが、取り外したCクリップの板厚を見ると一番強い固めのプリ設定でしたので、それが今回の様な発熱やカジリ変形を誘発したのかもしれません。
もう一つ、この箇所の相対するベアリングキャップを分解していて気が付いたのですが、左側のキャップの真ん中に1本ニードルベアリングが突っ立っています。外すときに外周のベアリングのところからずれたのかなと思っていたら、ニードルベアリングの数はこのキャップの中では充足していて、1本余分にあることになります。 反対側のキャップを見ると1本足りません。つまり右のキャップを付けるときにニードルが1本脱落してジャーナルの中央通路を通って反対側のキャップに落ちたという事になります。
1本ニードルが足りない状態で稼働していたことになりますが、ニードルはたくさん入っているのでそんなにも大きな支障は出なかったのだろうかな?
組み立てに入ります。
日産純正のジャーナルキットです。
GTRのフロント側は純正ではスライド伸縮機構があるタイプが使われています。
このようにスプライン勘合となっています。
スプライン勘合には必ずクリアランスが有りますのでそのクリアランスが広くなってきた場合はガタとなり、振動の発生源となりやすいでしょう。本来はボールスプライン勘合にすべきではなかったのかと思いますがコストの関係でしょうか。または強度、重量の問題だったのか。
ケンメリGTRタイプの2分割71Bミッションに変更するか、または私のやっている71A3分割ワーナー化スペシャルならプロペラシャフトはスプライン差し込みタイプになるので少なくともここの部分の要因を消すことができると思います。
前後ジャーナルを組んで完成です。