2013年2月14日 念願のクロスミッション

 

4月17日に富士スピードウェイチャレンジが決まりましたが、Zの仕様の方は全く変わっていません。これではタイムもアップしようが無いし、走ること自体に意味が薄れてしまいます。

 

そこで、やっぱり思い切って動きます。

いままで標準のミッションギヤレシオで走ってきましたが、気になるところが3点あります。

1)100Rで3速で吹け切りになる、が かといって4速に入れられない。3速が低い

2)メインストレートで5速で伸びない。5速が高い(L28ノーマルでは)

3)シフトの横方向及び前後方向のストロークが大きい

 

今回これを改善したいのです。

 

 

OS技研の3速クロスです。

 

やっぱりコンパチCにはクロスが組める楽しみがあります。

これを入手しましたが、内部からシザースギヤ用のサラバネの残骸がもみくちゃになって出てきました。

外れてしまっていたようです。また、1速の横に有るオイルガター(オイルを溜める樋のようなもの)もちぎれて無くなっていました。どこへいったんでしょう?

 

でも、幸いなことにギヤには損傷がありません。

これがOSクロスの証です。レーザーマーカーで刺青されてます。G-2はレシオのタイプでしょうか?

 

製品としてはカウンターギヤと1速、2速、3速ギヤが対象となりますが、N社さん標準より綺麗にできています。バリもほとんどありません。いかにも一品製作という感じです。

 

これで17万円は高いのか安いのか・・・・・

ギヤ比の検証

         1ST    2ND    3RD   4TH    5TH

OSクロス  2.718  1.722  1.233  1.000  0.759

標準     3.321  2.246  1.415  1.000  0.852

240クロス 2.906  1.902  1.308  1.000  0.852

 

シンクロ残量   1.7   1.4       1.3    1.3    1.7

エンドプレー    0.3  0.18   0.25

 

これでいくと 100Rでの3RDは丁度いい感じです。

5THの0.759はエンジンパワーが上がってくればカバー出来そうなのでこのままいきます

問題は2NDですがいままで第1コーナーとヘアピン・シケインは2NDで回っていましたが、ここがどうなるかわかりません。エンジンパワーがあれば問題ないか・・・・

 

そして、osクロスでは発進が標準でいうところの2速で発進するのと同じ感じになります。

2速発進の練習をしなければなりません。エンジンパワーがあれば問題なし・・・。

 

すべて たられば で計画が決まります。これから夕食はタラとレバーは毎日食べましょう。

 組みつけのベースとなるアダプタープレートですが、今回はかなり変わったパーツを使います。画像でシフトシャフトが通る穴3か所に、見慣れない小さな穴が対応して開いています。気がつかなったけど・・。

そして、下部にはオイルフラップがついていて、ミッションオイルが一方通行になっています。

 

訂正:3か所の小さな穴はどれにも開いていました。いままで気が付かなかっただけでした。

働きとしてはチェックボールにオイルを供給することです。

OS技研のクロス2速です。標準より白っぽい色味をしています。熱処理時に綺麗に無酸化状態でやっているからだと思います。手で持っているダイヤモンドやすりでスラスト方向受け面の研磨面に傷を入れていますが、こんなことしていいんかいと思うかもしれません。しかし、金属のかじり摩耗を防ぐ最大の味方はオイルです。かじり防止で鏡面に磨いてしまうとオイルが排除されてしまい、焼きつきます。ご存じの通りエンジンシリンダー内壁にもクロスハッチを付けますね。私の専門の金型でもかじり防止でこれをやっていましたが、この技術はスイスから来たマイスターに教わりました。

これも2速の裏側ですが、ギヤのシンクロ噛み合い部(画像の上面)のパーツは標準ではスプライン圧入ですが、このOSクロスでは電子ビームかレーザービームで溶接されています。したがってこのパーツだけの交換が出来ません。

 

上に有るリングがダブルシンクロのパーツです。

画像がありませんが3速のギヤ側のシンクロ噛み合い部は矢じり風にとがっているはずがお団子状態になっていました。これではシンクロ時うまくかみ合いません。普通のギヤならこの部分をプレスで抜いて新しいパーツを打ち込むのですが、OSのこの部分は電子ビーム溶接またはレーザー溶接されていましたので、分解は不可能です。仕方ないので、シンクロ噛み合い部の歯をダイヤモンドやすりで左右両方を少しずつ目立てしてゆきました。あんまり良くありませんが、新品を買うと5万円以上します。

これはシンクロキーですが、3個ある内一番左の左下のひげが欠けているのが分かりますか?

他の部品が金属の塊の様な物ばかりなのに、このヘアーピンの様な部品が重要な役割を担っているのは不思議です。

このキーは71Bでは金属の複雑な形の物でしたが、71Cではこの様にコストダウンされています。でもこれで機能するんですからいいんですけど。1か所ぐらうは欠けても機能的には問題はでないようです。

 

フロント側はこれでギヤ類の組み立ては完了です。

 

カウンタードライブギヤの打ち込みはメインドライブを保持するジグを作ったのでずいぶん楽になりました。

そして5速ギヤですが、両方とも5速ですが、外周のギザギザ部分に違いがあるのが分かりますか。

 

これが左側のですが、ギザギザの山が丸くなっています。ここにシンクロスリーブがかぶさってきますので、この様に丸くなってしまうとうまく噛み合えずギヤ鳴りが頻繁に鳴るようになります。

これが右側のですが、これも少し丸くなってはいますがまだ丸くはなっていません。新品はバリがあるくらいにとがっていますがそれはそれで、ギヤが入りにくい、固いなどの現象になるとおもいます。


そしてこれはバックギヤですがほとんどの個体はこの様に歯先が平たく摩耗しています。これではバックにうまく入りません。これでも程度がいい方なのでペンシルグラインダーで歯先を成形修正していきます。

この部品はすでに製造廃止となっています。

リヤ側も組みつけ完了です。

 

ここで特筆すべきことがあります。

今回のこのリヤ側5速とバックは71Bをそのまま使いました。

したがって5速の減速比は71cの0.759ではなく0.83となります。

 エンジンパワーが無いと0.759では一般道で5速60km

での巡航はつらくなります。またサーキットでも加速出来なくなることが

起こります。

 

ここまで来ると71BコンパチCというよりは

71BマージC となりますね。

今回のは71BマージC OSクロス となります。

 

ただこれをやるとシフトロッドが5-Bは71Bを使うことになります。

このシフトロッド3本のセットがうまくいくかどうかが課題です。

 

 

最終測定結果

    BR     EP

1速 0.05  0.30

2速 0.28  0.20

3速 0.17  0.25

4速 ---   ---

5速 0.05  0.20

シフトロッドですが先ずは5-Bは71Bを使用することは決定です。キー部分の厚みが少し薄くなっています。問題は3-4ロッドなんですが71Cのキー部分はすごく厚くなっており(71Bシッポの所で詳説している)ますので、これはシフトレバーの左右方向の振り幅が大きくなることを意味しています。これはシフトタイム短縮に対しては良くない状態です。71Bの方がずっとスリムなのでシフトの左右方向のストロークはすごく少なく感じます。

何とか71Bを使いたいので比較しますが、画像上が71B 下が71Cですが、右側に有る小さな穴の位置はフォークを固定するノックピンの位置ですが、これが異なっています。そこで、71Bに71Cと同じ位置で穴を追加工しています。

 

何度かやりましたが、結局71Bのロッドは使用出来ませんでした。どうもフォークのノックピンの角度が微妙に違うようで、結果的にキー部分の隣り合うクリアランスが保てませんでした。

結論的には、今回は1-4速は71Cのシフトロッド・シフトフォーク 5-Bは71Bのシフトロッド・シフトフォークで落ち着きました。シフトの横ストロークは71Cと同じになります。

シフトロッドのキー部分はこんな感じです。さすがに71cはがっしりしています。これに噛みあうストライキングレバーも71Bに比べれば非常に大きいです。

そしてこれも今回特別なのですが、画像下側のカウンター前端のベアリングのサイズなんですが、今回は71Cと同じ62mmサイズで、71Bの52mmより大きいです。いつもはここは71B用ベアリングを付けているのですが、今回は71C用です。

左が71Bの標準のカウンターベアリングですが、右側が今回使う71Cと同サイズのベアリングです。

だいぶ大きさが異なります。

なぜこれが出来るかというと、当然フロントケースのこのベアリングの受けが通常の71Bサイズで無く71Cと同じサイズで大きいからです。見たところ追加工品には見えないのですが、この様な物が標準で流れていたのでしょうか?私にはこの知識がありません。どなたか知っている方、掲示板で教えてください。

この特殊なケースの横面ですが L5 NMCA の鋳だし文字があります。L5はL型の5速の意でしょうが、NMCAは何の略でしょうか?

知っている方教えてください。

 

 

追記 所属クラブのご本家出身のSさんからNMCAの意味をご連絡くださいました。

これはオーストラリアで一時期限定で製造された固体で、その識別刻印がNMCAであるとこのことです。

オーストラリア人がアルミの鋳造所でこのような精密機器を鋳造している姿はあまり想像できませんね。

でも、きれいにできているしベアリングのサイズの違いはなんなんでしょう?

 

 

 

そしてこれはストライキングレバーの分解の図ですが、非常に興味深いものです。ここはシフトレバーが刺さってくるところですが何が違うかというと右側の円筒部分の外周に四角い凸が付いていますが通常はこれがありません。

この凸部分が左側のケースにしっくりなるようになっていて、ガイド性能を上げています。

 

また画像では分かりませんが、右側の溝部分に噛み合うようにケース内側に出っ張りがあるのですが、この個体ではケース内側にカラーが付いていてそれをEーリングで止めてあってそのカラーがこの溝とスライドするようになっていました。文字で表現するのは限界ですが、これは非常にシフトガタ排除に効果がある対策だと思います。

ケースに組み込んで完成です。

今回のこのミッションは自分のS31に搭載して 富士スピードウェイで試験します。

 

71BコンパチC OSクロス 改め 71BマージC OSクロスです。

ギヤ比は

               1ST    2ND   3RD  4TH   5TH

71BマージC OSクロス 2.718 1.722 1.233 1.000 0.852

標準            3.321 2.246 1.415 1.000 0.852

 

となります。発進は半クラをうまく使わないと、エンストするでしょう。1STは無いと同じです。

5THは一般道では使いやすくなるし、富士スピードウェイでもセミチューンなら合いそうです。

メインドライブシャフトはパーフェクトな状態です。

エンドプレー・バックラッシュも申し分なしです。

1-3 速 及びカウンターギヤはOS技研製クロス

5速とバックは71B

5-Bのシフトロッド関連は71B

1-4速シフトロッド関連は71C

ストライキングロッドはφ16大径化

71C用幅広ストライキングレバー

カウンターフロントベアリングは71C用大径化

シーザースギヤ付き

2速3速ダブルコーンシンクロ

1速大径シンクロ

1-4速ギヤ幅アップ耐久性向上

全ベアリング完全密閉シールド

ワンウェイフラップ付きセンターアダプタープレート

アウトプットメタルへのオイル供給ライン付き

 

 

 

2013年4月17日

この71BマージC OSクロスミッションを自分のS31Zに搭載して富士スピードウェイでタイムアタックいたしました。3速クロスは扱いやすかったし、ギヤ比も71Bよりずっと走りやすくなりました。

ホームストレートでは5速4.111デフで6500RPMで200Km/Hを指していました。

異音や壊れそうな兆候はまったくありません。

結果的にラップ20秒短縮できました。

詳細は 

 

富士スピードウェイへの挑戦 および

 

富士スピードウェイ走行会  を見てください。

 

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