2014年11月12日
もう普通にS20エンジン用3分割71Aミッションです。
もう半年余りで5台もオーバーホールすると、この極めて希少なミッションが普通になってきてしまいますから不思議です。
依頼してくれたのは同じ静岡県東部にすむ方で、ハコスカGTRですが、まっさらのきれいなボディーで来訪してくれました。
分解してゆきます。
このミッションには一番後ろにこの見慣れない手作りの感じのステーの様なものが取り付けられています。
普通は付いていないものです。なんの用途なのか分かりません。
分解するついでにこの部分にはドリルで面取りしておきます。理由は後から出てくるこの部分のオーリングの線径を太くしてオイル漏れを防ぐためですが、面取りしてないとオーリングが削れてしまいます。
シフトリンケージ部も完全にバラバラにしてオーリング類を交換してゆきます。
しかしこの個体はやすりで示している部分にマイナスドライバーの様なものを打ち込んだ跡がありました。分解方法をわからないまま無理やりやったか時間に追われてやっつけた仕事の結果だと思います。
でもまだこれくらいなら修整してやればオイル漏れには至らないです。
このリンケージの支点には画像のように樹脂のブッシュが入っています。またこの左右も樹脂のワッシャーでガードされています。振動対策ですね。
そしてこれがシフトリンケージの左右に付くプランジャーですが、このオイルシールからオイル漏れしていることが多いので、下側の線径から上側の太いものに変更します。
左端の2枚の分厚いワッシャーは後付けのステーにかませてあったもので、不要だと思います。
ギヤ分解して組付けにはいるところです。
画像が有りませんが分解前のギヤ精度は
1st 2nd 3rd 4th 5th
BR 0.10 0.10 0.13 --ー 0.13
EP 0.20 0.23 0.08 --- 0.13
でバックラッシュは問題なし
エンドプレーは1st が小さめ 3rdが小さめ
メインシャフト・カウンターシャフトともに振れは0.005mmで極めて良い精度です。
1stギヤ 2nd 3rd 舳先(ドッグティース)はとがっていてかなり良い状態です。
4th メイン人プットも問題なし。
バックー5thのシンクロスリーブのバック側の歯欠けが多いのですがこれは大丈夫。
5thもokですが、ここはシンクロリング製造廃止なので反転で組みます。
1速ー2速のシフトフォークはやはり段付摩耗(左側部品の右側爪部)しているので、左側部品の3点支持タイプに変更してゆきます。
ギヤ部の組み付けが完了
ギヤ精度は
1st 2nd 3rd 4th 5th
EP 0.20 0.35 0.28 --- 0.08
1stが少し小さく 2ndがすこし大きいですが、問題のない値です。
バックラッシュ測定忘れましたが、分解前とそんなに変わらないはずです。
シフトロッド側から
ケースに組んでいきますが、右側ワッシャークリアランスはぴったりでしたが、左側カウンター側は0.4mmクリアランスが空いた状態(ガタがある)でした。どうも紙パッキンの厚さ0.4mmを見過ごしているようです。
不足分の0.4mmを金色に光っているシンチュウ板で切りだして合わせます。
このあと紙シールとフロントベルハウジングを上からかぶせて完成です。
そのあと、オイル入れて簡易試験機e-zanaraizerで1時間実際に回して異音やオイル漏れ、バックスイッチ、メーターギヤ回転に問題ないかチェック。
1速から5速&バックへのシフト具合をチェックします。ポルシェは組み付けすぐはシンクロの反力が強くシフトが重い場合が多いです。これがだんだん使ってゆくうちになじんできます。
完成です。