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71B直結5速 S1

 

今回は非常にレアなミッションで、71Bポルシェシンクロの直結5速・ローバックシフトミッションのオーバーホールです。

 

このミッションはもともと240RSの方がスペアとして持っていたものですが、以前私のところで71BコンパチCカメアリクロスに切り替えたので、使わなくなったものですが、オーバーホール後、売却の意思があります。(詳細はこちら参照「240RSSは格語りき」

非常に貴重なミッションですので欲しい方はご連絡ください。完全オーバーホール後の販売となります。

240RS用のベルハウジングですが、L型用に変更も可能です。

 

このミッションにはなぜかこの部分に日産マークのような鋳出しがあります。本来バック誤操作防止機構を取り付けるところですがローバックなので構成しなかった名残りと思います。

 

フロントベルハウジングはL型エンジンと取り付けは同じようですが角度が異なります。また鋳物リブがS20エンジン用のようにはっきりとした高い鋳出しに作られています。

赤いプレートがL型エンジンのバックプレートですが取り付け穴4か所はほぼL型と合致しています。

240RSのFJ20エンジン用ですのでこの状態でシフトレバー位置が左にずれています。

 

L型のフロントベルハウジングにすればL型エンジンにも適合しますので、ご希望があれば組み替え可能です。

 

S20エンジンでも2分割ベルハウジング支給していただければ組み込み可能です。

ケースを解凍しました。このミッションはこれまで一度も開けられていないようで、各部がきちんとしています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現状のギヤ精度

エンドプレイ

0.40 0.42 0.16 0.18 ---

バックラッシュ

0.04 0.17 0.16 0.17 ---

バックラッシュは申し分ないです

エンドプレイが若干大き目ですが問題ないと思います。

 

ギヤ歯数

メインギヤ

1st 2nd 3rd 4th 5th(1次減速)

32  28  24  22  22

カウンター

16  20  23  26  31

ギヤ比

2.828 1.973 1.470 1.192 1.000

 

このギヤ比欲しいです。どんな状況でも最適のギヤ比が選べそうです。 

 

さて、分解してゆきますがこのM38ナットはタガネ攻撃されている例が多いですが、これはきれいな状態で緩みも全くありません。回り止めのワッシャーも付けていません。この整然とした感じはおそらく日産の特殊な部署で組み付けた当時のままと思われます。しっかりと組めば緩まないということかな。

 

一番奥に見える大きなギヤが1速メインギヤです。28Tです。ギヤやシンクロ構成的には通常の1速に似ています。

下側カウンター側の小さなギヤが1速で16Tです。このギヤはスペシャルです。

 

尚、センタープレートはアルミ製で軽量化されています。

フロント側にいってメインインプットですがやはりこのようにシンクロCリングが段付き摩耗しています。ただぜんぶのギヤに言えることですがシンクロ舳先(ドッグティース)は非常にとがっていて消耗は少ないです。

これは初めて見ましたがシンクロスリーブのこの部分の2歯は初めから取り除かれています。通常は他の歯と同じように舳先がありますが、かなりの確率で欠けている例があります。このスポーツミッションではそれを考慮して最初から歯を取り除いているのだと思います。また、それを識別するためにこのスリーブ外周には識別ラインが入っています。

他のギヤ2速当たりかな、やはり同じ傾向です。

3速ですがわかりやすくシンクロが寿命です。

このようになっているともうだめです。

シンクロにこの画像のように舳先が食い込んでギザギザマークがめり込んでいるものが有りますが、こうなるとうまくシフトできません。スリーブは必ず半歯分ずれ動かなければシフトできないので、ここが食ってしまうとシフトできない、またはシフトが固いとなります。

1速~4速のすべてのシンクロCリングとブレーキバンド2個を新品に交換してゆきます。

左側が今までのもの

右上は新品

シンクロスリーブですが右側の今までついていた3-4速用は舳先が丸まっており再使用不可です。

今回左側の中古良品WPC処理済み品に交換します。

どんどん組み戻してゆきますがその際に不具合がある部品は対策して、シンクロリング・ブレーキバンド新品交換。ベアリングはオープンからセミシールドに交換。

画像中央のM38ナットは私の編み出した技サイドロックボルトで緩み撲滅とともに、カシメタイプ1体品に交換してカシメロックも併用します。私の作るミッションはポルシェタイプの場合M38ナット緩みから起こる5速(今回はバック位置)空回りやスラスト焼き付きの弱点を補完するスラストベアリング仕様を構築しますが、今回はシャフトがスペシャルなので無理でした。それにバックですからね。

スラストベアリング構築仕様はこちら参照

カウンター側のエンドベアリングは高級ローラータイプへ変更して耐久性を上げます。

 

ギヤ部完成です。

全体的には通常の5速の位置にバックギヤがあります。バックの位置には1速があります。ローバックですから当然ですが。そのためバックアイドラーギヤシャフトが延ばされて、アイドラーギヤは通常とは前後が逆になっています。

ギヤの全体の印象は金属の色合いがシルバーがかっていて、熱処理が真空焼き入れ炉で処理されている感じがします。私の見た中では〇S技研のギヤに似ています。通常のギヤは連続炉で作られているのかもっと黒く焦げていてまだら模様になっています。多分特別な生産ラインで一品もので作られていたのではと想像します。

 

オーバーホール完成時ギヤ精度

        1ST  2ND  3RD  4TH

エンドプレイ 0.37 0.38 0.15 0.24 ---

バックラッシュ0.06 0.11 0.20 0.13 --- 

 

2速エンドプレイが大き目の感じですがギヤ配列が特殊なのでかもしれません。問題ないと思います。

バックラッシュはドンピシャです。

 

 

 

シフトパタンキー部は通常と同じ形をしていますが、シフトフォークが変更されていて、大まかにいえば通常の5速ーバックのシフトロッドに、3-4速のシフトフォークが付いていて、通常の1速ー2速シフトロッドに5速ーバックのシフトフォークが付いているということですね。ややっこしいですがこの画像を見ると一目瞭然です。でも使用頻度の高い2速ー3速のシフトをストレートパターンとするスポーツミッションを作るうえで最も改造を少なくできる合理的な方法と思います。2-3シフトフォークは他と共通ぽいですが、1-バックと4-5速シフトフォークは全くのスペシャルの様です。

 

この後ケースに仮組していきますが、リヤエクステンションのシフトブロック部は当然分解してオーリングは交換してゆきます。ここをやらないとリヤエクステの周りがオイルだらけになります。

画像取りませんでしたが分解例をこちらで見れます

 

そしてその後、シフト感や振動・音をチェックするため私の作った簡易試験機e-zanaraizerへ取り付けて回転試験をして、不具合が無いか確かめます。少しでも違和感がある場合は何度でもやり直します。

71B直結5速 S1

 

非常にレアなミッションで、71Bポルシェシンクロの直結5速・ローバックシフト日産純正スポーツオプションミッションです。

 

このミッションはもともと240RSの方がスペアとして持っていたものですが、以前私のところでヒルクライム競技のために71BコンパチCカメアリクロスに切り替えたので、使わなくなったものですが、オーバーホール後、売却の意思があります。

非常に貴重な日産オプションスポーツミッションですので欲しい方はご連絡ください。完全オーバーホール品の販売となります。

240RS用のベルハウジングですが、L型用に変更も可能です。S20エンジンにも2分割フロントベルハウジングを支給していただければ組み替え可能です。

・ローバックですからめったに使わない1速はメインシフトパタンから外して、2速~4速をコンパクトにシフトできることとなります。特に2速から3速がストレートになりますのでワインディングなどで効果があると思います。

・4速が直結ですからスピードに乗った時もっともギヤ抵抗の少ない状態になりますので、振動や騒音が少なくなると思います。(通常の5速オーバートップはほとんどの場合一番振動騒音が大きいです。)これは特に高回転がおいしいS20エンジンではかなりの恩恵があると思います。デフを3.7や3.3などにすれば巡行スピードにも十分対応すると思いますし、その方がある意味理想的なミッションとなると思います。

・ポルシェシンクロはサーボがかかりますのでこなれてくれば胸のすくようなシンクロ感で気持ちよくシフトできると思います。ただ寿命が短いのが欠点ですが50000kmぐらいまでは十分性能が持つと思います。

 

価格は 388000円+消費税 です。

ご購入検討の方は販売のページのオーダーフォームでご相談いただけるか

ホームにある私のメール e-za@vintagecraft-e-za.com へご相談ください。 

 

10月31日以降はヤフオクに移行します。その場合今回は上限なしの設定で行きますので、価格がどれくらいになるかわかりませんのでご考慮願います。